第3話 魂の叫び
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おべはぁっ!!?」
小雪の鋭い蹴りが準の頬にクリンヒットして、その威力で気絶した。
「全く困ったハゲなのだ」
小雪は周囲の通行人などにお騒がせしましたーとお辞儀をして、準の方足を持って引きずりながら離れる。
「今頃シーマ大丈夫かな?」
−Interlude−
そう、小雪から心配されていたシーマは冬馬に押し倒されて――――はいなかった。
冬馬は戦略家だ。冷静沈着でリスクとリターンを瞬時に秤にかけてから最善、或いは次善の策を次々と打ち続ける。
だからリスクだらけなのにスリルに酔いしれる風間翔一の様な蛮勇行為などするはずがない。
まあそれ以前に、冬馬はキッチリと相手の同意を持って行為に勤しんでいるので、そんな強姦紛いな事など起こす筈が無い。
「フフ、シーマ君はあちらのビルについては知りませんよね?」
「ああ、案内頼む」
なのでこの周辺をまだまだ把握しきれていないシーマの為に案内すると言う名目で、デートだけで我慢していた。
そこへ。
「おお、シーマに冬馬では無いか」
そこに居たいの金髪でガタイの良いアメリカン風の巨漢紳士、エジソンの偽装の姿だった。
「おや?トーマスさんでは無いですか。こんな処で珍しい」
「いや、そもそも出かけること自体が珍しい」
エジソンとの遭遇によりデートは一旦中止となる。
「人を引きこもりの様に言うのは感心しないぞ。何、友人との約束があってな。ここが待ち合わせ場所なのだ」
「何時の間に普通の友人なんて作ってたんだ」
「何か含みを感じるの」
「あのぉ・・・」
そこへ申し訳なさそうに会話に入ろうと努めるモノが現れた。
「おお、来たかね?」
「は、はい、遅れてすみません」
「なに、私も今来たところだからね」
「トーマス、彼女が待ち合わせていた友人の?」
「うむ。冬馬君達や士郎達と同じ川神学園の学生さんの」
「ま、黛由紀恵です。宜しくお願いします、シーマ先輩。葵先輩」
なんとか、いっぱいいっぱいと言った感じの自己紹介。
それをシーマは助け船を出す。
「そう緊張する事は無い。ミヤコから話は聞いている。とても美人な一個下の子」
それをエジソンは誇らしげに、うむうむと頷いている。
由紀恵は美人などと言う評価がシーマの口から発せられるなど思いもしていなかったので、恥ずかしげだ。だが、
「でもあまりに友人が少なく、腹話術を覚えて松風と言う擬似友人を作ったとても残念な子だと」
『おふっ!?』
「はうっ!?」
あまりに的確過ぎる言葉に松風と由紀恵が痛恨の一撃に悶えた。
これに友人として断固たる憤りをぶつけるエジソン。
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