第3話 魂の叫び
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自在にオンオフを切り替えられ、士郎からは出来ない。
しかし彼の存在は横暴では無いので、その事で士郎の全てを知ろうとは考えずに、その時々でオフにして自重する事も間々ある。
だがそれ故に今回の件について知らずにいた。士郎の説明した人物に心当たりがあり過ぎた。
丘に聳える存在にもし両手両足があれば、両膝を地面に着き両手も地面に着けてはさぞ愕然としたことだろう。
『――――いや・・・まだだ』
僅かな望み――――心当たりの人物が働いていたとしても、嫌々な反応であればギリギリセーフである。
そうして自動ドアが開き店内に足を進めると、
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・う・・・そだ・・・・・・』
「いらっしゃいませ、3名様空いてる御席へどうぞぉっ!?」
「驚かなくても良いでしょう?ちょっと様子を見に来ただけですから」
「お、おう・・・」
そんな彼の背後から上司の声が飛んでくる。
「ちょっと、シャカド君!忙しんダカラ、早く注文取って来るカ戻って来てヨ!」
バイトの先輩の中国人、孫からの叱責だった。
「いや〜、すんません。じゃあ、連れの御2人さんと一緒に券売機使ってください」
そこには生き生きと働く釈迦堂刑部の姿があった。
士郎からのプレッシャーによって迫られた無職の焦燥感。
そこから抜け出そうとして紹介してもらった就職斡旋のリスト内にあったお気に入りの梅屋。
そして予想よりも上の梅屋でのまかないの美味さで、働き始めてから数日で此処は自分にとって天職と言える職場なのではないか思い始めている様だ。
券売機にて食券を購入した士郎達から注文を受け取り、直に調理スペースに戻る釈迦堂。
今の釈迦堂には以前までの無職を当然とし、ニートである事に誇りを持ち自宅警備員生活を満喫していた以前までの姿は無く、本当に生き生きとしていた。
『嘘だ――――嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だぁあああああああああああ!!?』
「・・・・・・・・・」
自身の淵から響き渡る絶叫じみた悲鳴なので、他の誰にも聞こえる事は幸いなことに無いが、士郎だけは五月蠅い思いに耐えねばならない。
だから方指を耳に挿し込んでも無駄なのだが、
「如何したんだ士郎?耳なんか塞いで。耳鳴りでも鳴ってるのか?」
「いや、そうじゃない。個人的に気分の問題でな」
「?」
リザの質問に対して悠長に応える士郎だが、その中の居候は今も困惑と現実逃避の中で叫び続けている。
『――――嘘だ嫌だ嘘だ嫌だ嘘だ嫌だ嘘だ嫌だ嘘だ嫌だ嘘だ嫌だ嘘だ嫌だ嘘だ嫌だぁあああああああああああ!!?』
だが現実に釈迦堂刑部
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