第七幕その三
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「他のどの国にもない建物だよ」
「畳やお布団がなくてもね」
「その通りだよ、日本に建てる中でね」
まさにその中でとです、先生は皆にお話しました。
「日本で換骨奪胎されてね」
「日本の建てものになったわね」
「日本のお家に」
「そうなったね」
「お料理や服と一緒だね」
そのことはというのです。
「日本に入る中で日本のものになったのは」
「もう欧州のものじゃない」
「日本のものね」
「日本人はそう思っていなくても」
「もうそうなってるのね」
「僕はそう思うよ。それとね」
さらにお話をする先生でした。
「薔薇もそうした場所には合うからね」
「日本の洋館という建てものには」
「そして日本のそうしたものには」
「合うのね」
「だから洋館や薔薇を和歌で詠っても」
例えそうしてもというのです。
「いい筈だよ」
「そうだよね」
「それもまたよしよね」
「本当に」
「そう考えているよ、僕は」
先生は論文をかくその手を動かし続けつつ皆にお話しました。
「今もね」
「そうだね、しかしね」
「先生ってそうした考え柔軟だね」
「和歌で洋館や薔薇を詠っていいとか」
「イメージに合わないって否定しないから」
「別に柔軟でもないよ」
そこは笑って否定する先生でした。
「僕もね」
「そうかしら」
「充分柔軟だと思うけれど」
「そうよね」
「もっと柔軟ならね」
それこそというのです。
「平安時代や奈良時代の日本でも薔薇をと言うと思うよ」
「いや、それは幾ら何でも」
「合わないと思うから」
「それはないわよ」
「流石にね」
「そこをそう言えるのが日本人だったりするから」
このことは少し真面目に言う先生でした。
「日本人の発想は本当に凄いからね」
「誰かが日本人は独創性に欠けるって言ってたけれど」
「全然違うよね」
「何でそんな発想が、って思うことばかりで」
「どんな発明家でもびっくりするみたいな」
「そんな閃きばかりで」
「うん、だからね」
それでというのです。
「日本人の発想はもう違うから」
「他の国の人達とは」
「だから薔薇と平安時代も」
「ひょっとしたら」
「出来るかもね」
そうした組み合わせもというのです。
「それも見事にね」
「じゃあ光源氏と薔薇とか」
「そんな誰もが考えなかった組み合わせを出す人がいるかも」
「そうかも知れないのね」
「ひょっとしたら」
「そうかもね、そしてね」
さらに言う先生でした。
「奈良時代だってそうだね」
「前に僕達も奈良に行ったけれど」
「その奈良の文化の中に薔薇ね」
「赤や白の奇麗な薔薇」
「その中で恋愛を語るのかしら」
「それもあるかもね。あの奈良の神社仏閣や三山の中に薔薇があって
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ