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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第一部 原作以前
第三章 神前決闘編
第十三話 神前決闘
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いついたのだ。すると、それまで打撃にしか使えなかった鎖が、実に多彩な武器に変身したのだ。以来、私はずっと分銅をつけた鎖を使っている。私に鉄鎖術を教えてくれた黒人奴隷は「コンナノ本当ノ鉄鎖術デハアリマセーン!」と嘆いたものだったがな。

その分銅を先端にして、それを頭上で水平にひゅんひゅんと音をさせながら振り回す。そしてすり足で少しずつ間合いを詰めていくと、弟は気圧されたように少しずつジリジリと後退していく。だが、突然その後退が止まり、弟はニヤリと嗤った。

「ははは、確かに驚いたよ。驚かされたよ。そいつは認めるさ。でもな、鉄鎖術は恐ろしいが無双の武術じゃあない。集中してりゃあ避けられないものでもない。それだけが切り札なんて、今ひとつでしたな、兄上!」

「くっ!」

見透かされたか。私は図星を指されてうろたえた

フリをした。


「ラジェンドラ殿下ー!!」

その時、いきなりその様な叫び声が上がった。弟は雷に打たれたように声のした方向を振り向く。弟の目に映ったのは乳兄妹のラクシュが、観客席と舞台を仕切る金網まで駆け寄ろうとしていたところだった。弟は、何故ここに?捕らえられていたんじゃなかったのか?などと考え、一瞬混乱したことだろう。

そして、それがつけ目だった。

即座に距離を詰め、弟の剣を鎖で絡め取り、一気に鎖を引っ張って両腕から剣をはたき落とした。失態に気づき、剣を拾おうと伸ばした腕に、更にまた鎖を放って巻き付け、自分の方へ引き寄せる。引き寄せられ、弟の体が前方へつんのめった。その弟の腕を両腕で抱えて引っ張り、腰で背負い、投げを放った。

「ぐはっ!」

弟は突然の投げ技に反応できなかったのか、受け身も取れずにまともに背中から地面に叩きつけられたようだ。痛みが全身を駆け抜けたらしく動きが一瞬完全に止まった。

その隙に私は弟が手放してしまった剣を先に拾い上げ、それから鎖もきっちりと拾い、立ち上がろうとした弟の鼻先に剣を突き付けて、

「残念だったな、我が弟ラジェンドラよ。これで勝負ありだ!」

殊更余裕有りげな微笑みを無理やり作って、弟を見下していると、程なく、敗北を認める言葉が弟の口から紡がれた。

ふう、何とか勝ったか。実際のところ、バハードゥル相手に修練を積んだというラジェンドラは実に厄介な相手だった。序盤は私が攻勢だったものの、攻撃は全てかわすか受け流すかされていた。かすりはしても、まともに当たった攻撃などおそらく一つもあるまい。そして、槍の穂先を斬り落とす動きも実に手慣れたものだった。斬り落とされる前に慌てて槍をひこうとしたが、ガッチリ掴まれていて全然動かなかったしな。槍を失っても戦い抜けるようにと鉄鎖を用意はしていたが、本当に使うことになるとは思ってもみなかった。そして、ラクシ
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