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人類種の天敵が一年戦争に介入しました
第3話
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戦の初期目標の実に3割に達するのだ。
 マ・クベは武装勢力の『一暴れ』を、せいぜいが基地周辺で騒ぎを起こして注意を引く程度だろうと考えていた。爆薬を満載した車両を基地に突っ込ませるだとか、派手にやらかすにしてもそれが限界だと。現実には三ヶ所の拠点が壊滅している。しかも重要拠点ばかり。
 大口を叩く街の不良を焚き付けて街のお巡りさんに嫌がらせをさせてみたら、不良達は派出所を無視して警察本部と消防本部を爆破したようなものだ。おまけに街中に放火した。誰もそこまでやれとは言ってない。
 何度目かも分からない血圧の急上昇を覚えたマ・クベだったが、幾度となく繰り返したように鎮静化させる。使える。この武装勢力は使える。
 最初に連邦軍基地壊滅の報を受けた際には、基地内部に爆発物を持ち込むことに成功したのだと考えていた。武装勢力は現地民として地域に溶け込み、出入りの業者に紛れ込んでいる。或いは、もっと短絡的に内通者がいる。他にも想定される手段は幾つもあるが、連邦軍基地は内側から崩れたに違いない、そう考えていたのだ。しかし、実際に凶行の爪痕を精査してマ・クベも幕僚団も背筋に震えが走った。確かに奇襲はあったのかもしれない。しかし、奇襲で終わらなかったのは明らかだ。連邦軍は突如現れた何者かに襲われ、先手を取られつつも反撃し、しかし全ての抵抗を捩じ伏せられたのだ。そこにあったのは一方的な破壊と殺戮。それさえも遊びのようだった、と数少ない生存者は語った。そして、その生存者が語った内容こそが、マ・クベ達の頭を悩ませる原因とっているのだ。

――『そいつ』は半壊した司令部に銃口を突き付けて言いました。

「お前らの残りはどこだ。さっさと全部出せ。時間が勿体無い」

――今なら意味が分かりますが、言われたときは全く意味がわかりませんでした。確かに奇襲を受けて施設の多くは破壊されましたが、基地全体で見れば戦力はまだ充分に残っていたはずだからです。少なくとも、司令部が把握している範囲でも、頭が狂ったとしか思えない連中を一掃するには充分な戦力が間違いなく残っていたのです。
――司令官は、『そいつ』の反応を窺いながら、全部隊に緊急出撃の指示を出しました。襲撃によって自動的に緊急警報は発令されましたが、司令部からの指示は出せていませんでしたから。状況を確認すると、『そいつ』は次の要求をしました。

「近隣の基地……とりあえずセバストポリに警報を出せ。全力出撃だ。手間が省ける」

――これも意味がわかりませんでした。緊急警報が発令された時点で自動的に近隣の拠点にも通達があります。その上で、更に戦力を召集しろと言うのです。全く訳がわかりませんでしたが、言われた通りにしました。司令官自ら連絡をしていました。状況を確認すると、『そいつ』は言いました。

「協力に感謝する。死
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