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人類種の天敵が一年戦争に介入しました
第3話
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 マ・クベは一時的に設営した指揮所の一室で頭を抱えていた。いや、頭を抱えているのは別室で仕事をしている幕僚団も同様であった。
 彼らがオデッサに到達した時には、オデッサの市街地は壊滅。山裾に拡がる鉱山や旧坑道を利用した陣地群もほぼ瀕死。部隊が降下したばかりの頃はまだ生きている砲台もあったようだが、その抵抗もすぐに途絶えた。こうして降下部隊はほとんど損害らしい損害を出すことなく、黒海沿岸を確保した。確保というより接収である。最初は無思慮に喜んでいたマ・クベら地球侵攻軍首脳部だったが、状況を把握していくにつれて、すぐに激しい頭痛に襲われることになる。
 件の武装勢力の働きのおかげである。彼らは明らかにやり過ぎていた。降下部隊がオデッサ周辺に到達した頃には、彼らはオデッサを出て軍港セバストポリを襲撃し、続けてノボロシスクも沈黙させた。近辺にある地球連邦軍の有力な軍事拠点はその機能を失ったとみて良い。だが、いくらなんでも状況の展開が速すぎる。ノボロシスク陥落時点では、ジオン公国軍はオデッサの占拠すら終えていなかったのだ。地球侵攻軍はこの展開を予想して準備をしていたわけではない。つまりは予想外の状況であった。
 第一次降下作戦は地球制圧の第一歩。これを成功させるため、ジオン公国は一月近くもの間、マスドライバーによる地表攻撃を続けていた。地球の防空態勢を崩し、混乱させ、その隙をついて、満を持しての降下作戦である。これほどの計画であるから、苦戦や部分的な失敗も折り込み済み。だが、楽勝という要素は含まれていなかった。計画に無い要素ほど、司令部を右往左往させるものはない。

 更に、現地の被害状況も深刻だった。オデッサの市街地は屋根が残っている建物が珍しいほど破壊されてしまっていた。ロマノフ朝以来の由緒ある観光都市は、遂に最新の廃墟になったというわけだ。
 地球文化史に詳しく、美術品、骨董品を愛するマ・クベなどはオデッサの街並みに大いに期待を抱いていたものだ。マ・クベが侵攻軍の総司令官を引き受けたのは、この後の独立戦争で失われる文化財を保護したいという思いが強かったから、という一面もある。
 それが蓋を開けてみれば、保護するどころかいきなりの廃墟。しかもご丁寧に、広場の壁に「気に入った?」とハートマーク付きでメッセージが残されている有り様だ。マ・クベの心中では気に入るどころか武装勢力の首領を取っ捕まえて銃殺してやりたいくらいだったが、公人としての部分が、冷静になれと囁いた。
 現地の武装勢力。得体の知れない連中とはいえ、公平に実績を鑑みれば使える駒だ。その働きは想像以上といって良い。『使える』というカテゴリーから甚だしく逸脱してすらいた。報酬は働き次第ということだったが、マ・クベの一存では決めかねるほどの戦果だ。彼らが破壊・無力化した施設や戦力は、第一次降下作
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