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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第一部 原作以前
第三章 神前決闘編
第十二話 兄弟相剋
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は嘘泣き?空涙?いや、そうは見えなかった。断じてそうは見えなかった!
「彼女はあんなに泣いて、震えてたんだぞ?それをあんたは嘘だと、イタズラだっていうのか?」
「お前だって王宮にいた頃は何度も巻き込まれて担がれただろう。今回だってそれだ。犬も食わない夫婦喧嘩だ。落ち着いたら帰ると言い出すだろうから、そっとしといてやってくれないか。そしてお前はもう帰れ、いい加減相手にしてられんぞ?」
そうなのか?俺は担がれてるのか?でも、証拠は…、そうだ証拠、いや証人は居る!はずだ!
「だったら、諜者を連れてこいよ。カルナでもラクシュでもあの三人でもいい。話をきかせろよ、そうしたら信じてやるよ」
「…お前は人の話を聞いてたのか?みんな出払ってると言っただろう?パルスで戦争が始まりそうなんだ。情勢の確認のため、みんなパルスのあちこちに散っているし、呼び戻せる状況にもない。それくらいは理解できるだろう?」
「一人ぐらいは呼び戻せるだろ?」
「だから無理だと言っている!それじゃあ何か、お前は一人の女のために、国が一度命じた任務を撤回して帰還させろと言うのか。お前の恣意のために?お前、自分が王族だって自覚あるのか?」
「あんたこそ何だよ!てめえの女一人幸せに出来ない最低ヤローが王になろうだって?はん、ちゃんちゃらおかしいってんだよ!」
「…その言い回しはよく判らんが、馬鹿にしているのはだけはよく判った。貴様、覚悟は出来てるんだろうな!」
「はん、何だよ?たかが口喧嘩で人を罪に問えるとでも?いや、違うな、罪があるのはあんたの方だ。あんたなんぞ、王になんて相応しくない。神前決闘で、神々の前でそれを証明してやる!」
「ほう?弟よ、吐いた唾は飲めないと判っていような?」
「飲むつもりなんざねえよ!もう一度言ってやる!俺はあんたに神前決闘を申し込む!あんたが王にふさわしくないことを神々の前で、公衆の面前で証明してやるさ!」
◇◇
儂、カリカーラ王は寝台から身を起こし、傍らに佇むガーデーヴィと政に関しての話をしていた。もうそれほど長くは無いであろう儂じゃが、今日は実に体調が良い。この機会を逃さぬようにとガーデーヴィめを呼び出し、経済、外交、治水、開発、様々な施策につき、現状と見通しを聞き取っているが、どれについても打てば響くように即座に答えが返ってくる。そしてその内容は実に申し分なく、此奴の統治者としての資質には舌を巻く思いじゃ。此奴はきっと儂なんぞよりも、よほど優れた君主となるじゃろうなあ。
ただ唯一食い足りぬ部分は、パルスに対しての外交方針が、避戦一辺倒だと言うことかのう。『王室など旗印として仰ぐ存在がある限り、パルスの武勇の根が失われることはまずありませぬ。徒に対立して兵力を損耗することは避けるべきで
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