第一章
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塩ラーメン×カレーラーメン
この時八条学園中等部二年二組では一つの論争が起こっていた、それは実に厄介なものであった。
ある者達はこう主張した。
「ラーメンはあれしかない」
「北海道一番ならあれだろ」
「塩ラーメンだ」
「塩ラーメンしかないだろ」
こう主張するのだった。
「何といってもな」
「あれ以上のラーメンがあるか」
「北海道一番ならあれだろ」
「あっさりしていてしかも味わいがある」
「あれの美味さを否定出来ないでしょ」
「お野菜を入れても卵入れてもよし」
「チャーシューやハムやソーセージにも」
「お鍋に入れてもいいし」
もうこれしかないと言うのだった、彼等はあくまで塩ラーメンこそが一番のインスタントラーメンと言っていた。
だがもう一方の者達はこう主張した。
「違う、カレーラーメンだ」
「北海道一番のシリーズ最強だろ」
「あんないいラーメンあるか」
「カレーとラーメンが合わさって滅茶苦茶美味しいぞ」
「よくぞ出て来てくれたよ」
インスタントのカレーうどんは昔からあった、それで味には定評があった。だがカレーラーメンそれもカップではなく袋のそれではこれといったものがなかったというのだ。
だがここで北海道一番のシリーズにカレーラーメンが出てというのだ。
「カレーの味が最高に出ていてな」
「一回食うと病みつきになるぜ」
「本当にな」
「塩ラーメン以上に野菜にも卵にも合う」
「肉類にだってな」
「カレー鍋にも凄く合うんだぞ」
塩ラーメン派に真っ向から対する、そうして彼等は言い続けるのだった。
クラスは完全に真っ二つになってそのうえで言い合っていた、両者互いに譲らず一歩も退かない感じになっていた。
その対立を見てだ、このクラスの担任の加納邦衛は困った顔になっていた。
それでだ、職員室で副担任の植野欣也に言った。
「俺も北海道一番のシリーズ好きだけれどね」
「美味しいですよね」
植野は面長で引き締まった端整な顔で加納のひょっとこを思わせる顔に応えた、二人共黒髪は短い。ただし植野は一八〇の長身で堂々とした筋肉質だが加納は着ているスーツに着られている感じである。
「あのシリーズは」
「味噌だって醤油だってね」
「最近だと豚骨も塩豚骨もいいですね」
「ああ、太めの麺がいいんだよね」
「本当にそうですよね」
「それで塩もカレーもだよ」
加納はあえて今の論争に言及した。
「俺好きだよ」
「はい、僕もです」
植野もこう返した。
「好きです」
「塩が一番だね」
「いえ、カレーですよ」
ここで植野は反論を以て加納に返した。
「何といっても」
「いや、塩だよ」
「カレーですよ」
まだ言う植野だった。
「あれはもう奇跡
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