第一章
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ベルギーの歴史
ベルギーのブリュッセルの大学で法律を学んでいるハインリヒ=コロに弟のフリードリヒがこんなことを言った。
「今度歴史のテストあるんだけれど」
「ああ、そうか」
ハインリヒはまだ小学生の弟に応えた、二人共金髪碧眼のドイツ系独特の顔をしている、彫も深くハインリヒの背は一八七ある。フリードリヒも子供にしては背が高い。二人共すらりとしたスタイルをしている。
「頑張れよ」
「いや、頑張れって言われても」
フリードリヒは兄にこうも言った。
「それでもね」
「それでもってどうしたんだ」
「いや、先生が笑って言ったけれど」
それでもとだ、フリードリヒは兄にさらに言った。
「ベルギーの歴史は短いからって」
「それでか」
「勉強するところがないから楽だってね」
「先生そうしたことを言ってたのか」
「覚えることも少ないからって」
それでというのだ。
「楽って言われたけれど」
「そんなこと言われたのか」
「このこと本当?」
弟は兄にあらためて尋ねた。
「ベルギーの歴史って勉強すること少ないの」
「そう言われるとな」
どうかとだ、ハインリヒは考える顔で弟に行った。
「僕もな」
「その通りだっていうんだ」
「ベルギーって国が出来たのは」
それこそというのだ。
「十九世紀でオランダとかルクセンブルグに比べて」
「短いんだ」
「そうなんだよな」
ベネルクス三国の中で建国が一番後だ、それでというのだ。
「イギリスとかフランスとかドイツに比べても」
「ドイツはベルギーより後に出来たのに」
「あの国は神聖ローマ帝国だったからな」
この国の名前をだ、ハインリヒは出した。
「だからな」
「それで古いんだ」
「そうなんだよ、これがな」
「そうだったんだ」
「アメリカより後だしな」
ベルギーの建国はだ、このことは実際にその通りだ。
「建国してから起こったこともあの国よりずっと少ないしな」
「アメリカは多いんだ」
「もう色々あったよ」
歴史がないと言われるまでに若い国だ、しかし建国してから今に至るまでアメリカという国が経験してきたことは多いというのだ。
「何かと、そのアメリカと比べても」
「ベルギーの歴史は起こったことが少ないんだ」
「だからその先生もそう言ったんだろうな」
「覚えることが少ないって」
「そうだろうな、戦争はあったけれどな」
一次大戦と二次大戦だ、どの戦争でもドイツに攻められている。
「それでもな」
「他の国に比べて出来事も少なくて」
「建国してから新しいしな」
「覚えること少なくて」
「教科書も薄いって言われてるな」
ベルギーの歴史の教科書はというのだ。
「本当に」
「そう言われると何か」
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