十四 しずめゆく者
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デイダラどころではない。目の前のナルをどうにか正気に戻すのが先決だ。
そう思っていた矢先、彼女が急に立ち止まる。寸前までの殺気が一気に消え失せ、纏わせていた九尾チャクラも、徐々に消えていく。
九尾の尻尾のようなモノも掻き消えたかと思うと、ふらり、ナルの身体が揺れる。
倒れる寸前に、カカシは彼女を抱きとめた。
「ナル、しっかりしろ!」
気絶しているだけだとはわかる。だが、眼を覚まさない彼女が息をしているかどうかをカカシは確認した。
規則正しい息遣いを感じて、ホッと胸を撫で下ろす。
不可解な現象に訝しげにしながらも、カカシは安堵感のあまり、大きく嘆息したのだった。
「あやつは…わしの手元を離れた時から、昔のまま……歳を取っておらん」
チヨの言葉を耳にしながら、いのは愕然と視線を往復させる。
腕と足は人間と同じと言っても過言では無いほどの精巧なつくりであり、人と見間違えるのは当然と言えた。
だが、腹部から伸びるワイヤーと、背中の刃物が人と同じつくりをしていない事実を露わにしている。
「その理由が目の前のアレじゃ」
苦々しげに呟くチヨの視線を受けて、サソリはかくんと首を傾げた。瞬きひとつしない、怖ろしいほど整った顔立ちが逆に恐怖を煽る。
自らを人傀儡にしたサソリは、立ち竦んだまま動かないチヨといのを交互に見やって、眉を顰めた。
「どうした?来ないのか?」
紅い雲模様の衣が足元に滑り落ちる。
『暁』の外套の近くで、全身の武器に仕込ませている毒が滴る。洞窟で反響する音が開戦の続行を宣誓した。
「ならば、こちらから行くぞ」
両腕を掲げる。関節の音と相違ない音を鳴らして、手のひらから噴射口が現れる。
【赤秘技・放炎海】。
高温の熱が岩を溶かす。サソリの両腕から発射された炎は洞窟内の壁さえ溶かし、外の光が射し込んでくる。
あたりが炎の海へと化していく。サソリに近づけもしない。
チヨの傀儡人形である【白秘技・十機近松の集】の傀儡人形がサソリになんとか接近しようとしたが、そのほとんどは近づく前に消し炭にされた。
見事な身のこなしで、いのとチヨはサソリの攻撃を避け続ける。
炎が一瞬途切れたのを見計らって、いのがクナイを投げた。
クナイは高熱にすぐさま、傀儡人形同様に、炭と化す。
(これじゃ、迂闊に近づけない…!)
逃げ場を徐々に失っていく二人。
岩壁に身を潜めながら、いのはチヨを捜した。いのと同じく、岩壁に隠れていたチヨが目配せする。
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