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ブレザー 
第三章
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「校章も貰ったし」
「もう抜かりないわね」
「これでね」
「じゃあもう安心してね」
「入学するわ」
 こう言ってだ、亜李は入学式に挑んだ。その時にはネクタイも無事に締めることが出来た。そのことに満足してだった。
 高校生活をはじめた、すると亜李はまず同じ中学から進学した娘達の中でも特に仲のいい娘達と一緒に校内を見回って何処にどうした場所があるのかチェックしていった。その時にどの部活に入ろうかという話もしていたが。
 そこで購買部の前を見てだ、亜李は驚愕した。そうして。
 家でだ、母にその購買部で買ったものを見せて憤慨した顔でこう言ったのだった。
「見て、これ」
「ああ、ネクタイね」
 母は娘が見せたそれを目にして何でもないといった口調で述べた。見ればそれは確かにネクタイであったが。
 ネクタイであるのは見える部分だけで首の周りの部分つまりブラウスの襟で見えない部分は只の紐になっていた。つまりただ首にかけるだけで済む簡易型ネクタイだった。
 そのネクタイを見てだ、母はやはり素っ気なく言った。
「そういえばそうしたネクタイお母さんの時もあったわ」
「何よ、これ」
 亜李は目を怒らせてこうも言った。
「こんなのしていたらよ」
「ネクタイ締めなくていいわね」
「そうよ、しかも購買部で普通に売ってるし」
「もう学校指定ね」
 学校の購買部で売っているからにはだ、そうなるのは自明の理である。
「完全に」
「腹が立ってきたわ、私必死に練習して身に着けたのに」
 ネクタイの締め方をとだ、亜李は今度は口をへの字にさせていた。そのうえでの言葉だった。
「こんなのがあったらどれだけ簡単か」
「人間楽に済めばいいからね」
 母の返事はやはり素っ気ない、もう言葉に色が見られない。感情という名のそれが。
「首にかけるだけで終わったら」
「じゃあネクタイ締めなくていいの?」
 亜李は母にあえてそうしていいのかと尋ねた。
「これを巻いたら」
「あんたがそうしたいならね」
「そうしてもいいのね」
「あんた次第ってことよ」
「何かもう色々言いたいわ」
「じゃあしないのね」
「考えるわ、しかし世の中こんなのあるのね」
 亜李はずっと怒っていて不平を述べていたが言いたいことを全部母に行って腹の中にある怒りの源が消えた。それで落ち着いてきてだ。
 そのうえでだ、母に今度はこう言った。
「ある意味でいい勉強になったわ」
「世の中にはそうしたものもあるってわかったのね」
「ええ、けれどね」
「それでもっていうのね」
「私必死に練習したから」
 ネクタイの締め方、それをというのだ。
「そっちでいくから」
「ネクタイちゃんと締めてくのね」
「そうするわ」
 こう言ってだ、亜李はネクタイをちゃんと締めて登校し学校
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