第二章
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「それでも嬉しいの後で」
「心配ごとがあって」
「今はそれを聞いたの」
ブレザーの制服なのでネクタイを締めないといけなくてというのだ。
「そうだったのよ」
「やれやれね、今は喜ぶだけでいいのに」
「これからやっていけるかとかは」
「考えなくてもいいのよ」
全くという母だった。
「今日はお祝いのお料理出すし」
「今作ってるのが」
「そうよ、これはサラダに使うキャベツでね」
それで切っているというのだ。
「ステーキも焼くから」
「ステーキなの」
「そう、ティーボーンよ」
ステーキの中で豪華とされているそれだというのだ。
「特上の松坂牛でね」
「凄いわね」
「だって合格祝いよ、だからね」
「お肉も上等なの」
「奮発したから。だからね」
「今はなのね」
「そう、自分が合格したのを喜んでね」
そうしてと言う母だった。
「食べるのよ」
「それじゃあ」
亜李も頷いてだ、ブレザーのネクタイの心配は今は置いておいてそのうえでこの日は家族でお祝いをした。そうしてからだった。
あらためてネクタイの締め方について心配する様になってだ、高校入学までの春休みの間暇があるとだ。
ネットで調べ本で読み父に教えてもらったネクタイの締め方を練習してみた、だがこれが思いの他だった。
難しくだ、母に困った顔で話した。
「ネクタイって随分ね」
「難しいっていうのね」
「うん、何回かしてるけれど」
それでもというのだ。
「これがね」
「中々出来ないのね」
「何、これ」
母に眉を顰めさせて言った。
「お父さんもサラリーマンの人達も皆こんなの巻いてるの」
「そうよ、スーツの時はね」
母は娘に何でもないといった口調で答えた。
「いつもよ」
「こんなの締めてなの」
「だから何度も締めてると慣れるのよ」
「すぐに締められる様になるの」
「あんたもね」
「本当かしら」
亜李はそれがとても信じられないという顔で返すばかりだった。
「こんな難しいのが」
「だから慣れるから、そうして何度も締めてるとね」
「練習してると」
「百回位やってれば身体が覚えるわよ」
「百回やってるとなのね」
「あんたまだ百回もしてないでしょ」
「まあ三十回位かしら」
暇を見てしているが実際はそれ位である、友人達と遊んだり高校の下見に行ったり入学準備をしたりして何かと忙してだ。それで三十回位なのだ。
「まだね」
「百回してたらね」
「普通に出来る様になるの」
「そうよ、だからあと七十回はしたら出来る様になるわ」
「それじゃあ」
亜李は頷いてそうしてだった、時間があるとネクタイの締め方を練習した。入学用意をしたりするその中で。
そうして百回はしていると実際にだった、手が自然とネクタイの締め方
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