第四章
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「力がついた感じがするんだよ」
「急にですか」
「力がですか」
「そうなんですか」
「うん、何かバーベルがね」
上げているそれがというのだ。
「急に軽くなったんだ」
「それ結構以上に重いですよ」
「ですがそれがですか」
「軽くなったんですか」
「そうなんだ、急にね」
まさにというのだ。
「どういう訳か」
「トレーニングの結果じゃないんですか?」
「先輩引退されてからもトレーニングされてますし」
「その結果じゃないですか?」
「いや、俺ずっとトレーニングしてきたけれど」
洋平は後輩達にいぶかしむ顔で話した。
「それがね」
「あっ、先輩はでしたね」
「上半身の筋肉については」
「先輩いつも言っておられますね」
「それがね」
思う様に力がつかなかったのがというのだ。
「急にだよ」
「それがですか」
「おかしいってですか」
「思われてるんですね」
「どういうことなのかな」
このことに首を傾げさせる彼だった、しかし。
この日だけでなくだった、彼は何かあると力が飛躍的についたことを実感した。これまでは持ちあげられなかったものを軽々とだ。
持てる様になった、それでだった。
姉にもだ、こう言ったのだった。
「最近俺力ついたみたいなんだ」
「腕とか胸のなのね」
「うん、相当にね」
「トレーニングの結果じゃないの?」
早希もこう言った。
「あんたずっとしているから」
「いや、ずっとね」
洋平は姉の早希にこう返した。
「力ついてなかったのに」
「それがなの」
「何か前に姉さんのお家に来た時に」
「何かあったの?」
「川辺で変な女の人に会ったんだ」
「変な?」
「白い着物着てやけに暗い感じの人で」
洋平は早希にその女のことも話した。
「赤ちゃんを抱いてくれって言われて」
「赤ちゃん、ね」
「その赤ちゃんがどんどん凄く重くなって」
それでというのだ。
「何と最後まで持って返してくれって言われてね」
「返したの」
「そうなんだけれど」
「それ産女でしょ」
早希は弟にこう返した。
「そうでしょ」
「産女?」
「あんた知らないの?」
「何それ」
「八条大学も妖怪や幽霊の話多いのに」
早希のそして夫の真一の出身校でもあるのでよく知っているのだ、この大学含めて学園全体が世界屈指の怪談スポットで妖怪や幽霊の話が多いのだ。
「知らないの」
「いや、河童や鬼や幽霊の話は聞いてるよ」
洋平もこう返した。
「あと悪魔博士もね。けれどあそこにない妖怪や幽霊の話は」
「知らないの」
「俺妖怪に詳しくないから」
特に興味がないからだというのだ。
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