第三章
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「困っていたしね」
「とにかく胸とか腕は」
「これからも心配だよ」
こう言うのだった、就職先が決まった祝いの場で。それで洋平はずっとトレーニング上半身のそれも含めて続けていたが。
その中でだ、彼は大学に卒業論文を提出してからだった、この日も早希に呼ばれているので彼女と真一の家に行く途中にだ。
淀川のほとりでだ、白い着物の不気味な感じの女と会った。
もう夜になっている、洋平は論文を提出してから大学のトレーニングルームで汗をかきシャワーを浴びてから姉夫婦の家に行っているので夜になったのだ。そこでその女に声をかけられたのであるが。
その女を見てだ、洋平は得体の知れぬ不気味なものを感じた、だが女はその洋平に対してであった。
「もし」
「何ですか?」
「お願いがあるのですが」
こう声をかけられた。
「宜しいでしょうか」
「お金はないですが」
「お金のお話ではありません」
女は洋平に暗い顔と声で答えた。
「そうではないです」
「じゃあ何ですか?」
「この子を抱いてくれますか」
見れば女は両手に何かを抱いていた、その何かは赤子だった。白い布に囲まれた生まれたばかりの赤子だ。
「そうしてくれませんか」
「その赤ちゃんをですか」
「はい」
その通りだというのだ。
「そうしてくれますか」
「何でまた赤ちゃんを」
「嫌ならいいですが」
女は洋平に不気味な声のまま応えた。
「それでは」
「いえ、何でしたら」
人のいい洋平はそれならと応えた。
「抱かせてもらいます」
「お願い出来ますか」
「それでは」
こう答えてだ、洋平は女が差し出したその赤子を抱いた、するとだ。
その赤子は最初は軽かったがそれがだ。
徐々に重くなっていき石か鉄の様な重さになった、それで洋平は思わずその赤子を落としそうになったが赤子を落としては危ないと思い。
頑張って持った、長い時間持っていたと思ったが何とかだ。
持ち堪えた、そして女がだ。彼に横から言ってきた。
「有り難うございます」
「有り難うっていいますと」
「もういいです」
こう言ってきたのだ。
「この子を抱くのは」
「そうですか」
「はい、どうも有り難うございました」
こう彼に言うのだった。
「本当に」
「じゃあこの子を」
「返してくれますか」
「はい」
洋平は重かったこともあり赤子をすぐに返した、すると女は彼に言った。
「これはこれで」
「それじゃあ」
女は彼に背を向けて何処かへと去っていった、洋平はその背を見送る時も不気味なものを感じていた。だがそれよりもだった。
早希に呼ばれているので彼女の家に向かった、そしてこの日は姉から社会人としての心構えを言われた。
この時はこれで終わった、だが。
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