純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 4
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人を心配させちゃってるじゃない。今回は、その辺りでやめておきなさい」
「にゅうぅー」
「そんな悲しそうな目で訴えてもダメ!」
「……にゃにゃにゃ、にぇみぇにぇ、みゃにょいっみゃい……」
【竜族語??人間語翻訳】
ならば、せめて、あと一杯……
「ぅ……」
金色の目を潤ませて。
下から上を覗くように、おずおずと私を見上げるゴールデンドラゴン。
卑怯だわ。卑怯すぎる。
なんなの? この、可愛い攻撃!
「い……っ、一杯だけ……、よ?」
「みゃあーっ!」
コップを掲げて大喜びのダンスとか。
この子、本当にティーの記憶を受け継いだ竜族なの?
私の本体を拾い付き添ってくれていたあのティーとは、似ても似つかない言動ばかり。いえ、まあ……言葉遣いは、あのティーそのものなんだけど。
ひょっとして、あのティーが現代でも生きていたら、この子と同じような振る舞いをしていたのかしら?
木製のカップを頭上に掲げて嬉しそうに踊る、見目麗しい男性のティー。
……………………ダメね。
全然、想像できないわ。
「やっぱり、別人なのよね」
「にゅ?」
「ううん。なんでもない」
歓喜の舞いをやめて、今度は少しずつ、少しずつ、大切そうにお茶を口に含んでいたティーが、不意に私を見上げて首を傾ける。
こんな仕草もきっと、あのティーならしないのでしょう。
「貴方は貴方のままで良い、ってこと」
「みゃ!」
分かっているのか、いないのか。
目を細めて片手を上げたティーは、またお茶をくぴくぴと飲み始める。
私とアーレストさんは顔を見合わせ、小さく笑った。
「私達も、冷めてしまう前に頂きましょう」
「そうですね」
鮮やかで瑞々しい緑色の葉物野菜を中心としたサラダ。
濃厚で芳醇なバターの香りを放つロールパン。
根菜類とお肉を一緒にじっくり煮込んだ、ミルク色のスープ。
どれも、私が食べたって栄養にはできないけど。
私が食べる前提で用意された、貴重な料理だ。
だから、刈り取られた命への謝罪や、それを育んだ人達への敬意。
作ってくれたアーレストさんへの感謝も込めて、両手を合わせる。
「「いただきます」」
「にゃーっ!」
と、そんなやり取りをしていた私達の背後。
アーレストさんに作ってもらった小箱のベッドで横たわり。
ぐっすりと眠っていた筈のリースリンデが、酷くうなされていた。
「ううぅ……にゃーって、にゃーってなにぃ? なんて言ってるのぉ……」
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