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逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 4
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自身の音楽に自覚がありませんから、それは無意識の内に行われているのですが」
 「他者の影響を受けている、という事?」
 「はい。傾向を見るに、多くの人は自身の音楽と極端にズレている音楽を忌避しています。しかし、自身の音と音の間に程好く入り込んで来るような音楽は好んでいるらしく、そういった音楽とは自ら進んで音を合わせたがるのです」
 「無意識で他者との心地好い演奏を望んでいるから、自然と相手の音に合わせた音遣いになってしまうのではないか、と?」
 「そうですね……「音」を「意思」に置き換えていただければ解りやすいかと思います」
 「ああ。つまり、相手の理解に合わせることで意思の疎通を図ろうとしているのではないか、という意味ですね」
 「必ずしもそうとは言えない場面を数多く見てきましたし、憶測の域は出ませんが」
 確かに。
 私が見掛けた人達は皆、どちらかと言えば一方的に話し掛けるだけで満足してる感じだった。赤子や動物が人間の大人と同じ態度や言葉遣いで返事をしたら、総じて気味が悪いと突き放すんじゃないかしら?
 そう考えると、意思の疎通を図ろうとしている……では、説明がつかない。アーレストさんが上から目線の思い込みと言った意味も解る気がする。
 でも。
 「相手に合わせた態度と聞けば、時には不遜と取られたりもするけど……自身に合わせた理解を相手に求めるのではなく、相手の理解に自身を合わせようとしたのなら、それはきっと「思い遣り」と呼ばれる行為だわ。ティーが窮屈な思いをしないようにと気を配ってくれた貴方はとても優しい人ね。ありがとう、アーレストさん」
 そんな思い遣り溢れる場面を、見ていてほのぼのするからって理由で一ヵ月近く放置していた私。
 ちょっぴり罪悪感。
 「いえ……結果的にティーさんを侮辱したようなものですし、修行不足を痛感しました。もっと精進せねばなりません」
 「ににょうにょにゅみぇにょみみゃみゃにゃんにぇ、にょにぇにょにぇにぇみにゃっにぇにょうにぇんにょ。いにいにみにににぇにゃにゃ、みにみゃにゃい」
 「ええ、私もそう思う。世界で観測される事象には例外無く多面性が有る。受け取り方なんて、それこそ人の数だけ存在するでしょう。その総てに応えなきゃいけない義務なんか、何処の誰にも無い。応えようとする姿勢を否定するつもりは無いけど、応えられなかった事を逐一責める必要も無い。貴方は、大勢いる人間種族の中の一人でしかないのだから。何より、ティー本人が気にするなと言ってるんだから、それで良いんじゃないかしら? ね、ティー」
 「にゅむ。」
 鷹揚に頷いたティーが、抱えているカップを再度空にして、困った顔で笑うアーレストさんへ押し出した。
 「貴女方には敵いませんね……。ありがとうございます、ティーさん。マリアさん」
 「に
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