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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第一部 原作以前
第二章 対パルス使節団編
第八話 陰険漫才
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き、顎を拳の上に載せているが、さっきから傲然とこちらを見下ろすばかりでこちらの話に対して相槌一つ打ちやがらない。まさか、今夜は王妃相手にどんなプレイをしようかなどと考えてるんじゃあないだろうな?くそ、いい加減これ以上一方的に話し続けるのに嫌気が差してきた。そろそろ話を畳みにかかろう。
「…という訳で、我が兄ガーデーヴィ王太子は、現在は摂政の身であるが故に仕方なく従前通りに貴国に対する敵視政策を維持しておりますが、先の三カ国同盟によるパルス侵攻に公然と反対の立場を取っていたことからも明白な通りに、心はパルスとの和平にあります。復権を図る豪族諸侯の暴走を完全には抑えられなかったばかりに、不幸な行き違いが両国の間に発生しましたが、即位の後は友好条約を結びたいと考えております。今後は手を携えて大陸公路の安寧に力を尽くしていきたい所存ですので、どうかご理解賜りたく思います」
これだけでも相当な長ゼリフだったと言うのに、アンドラゴラスは話し終えた俺に拍手するどころか、鼻で笑いやがった。
「ふん、ぬけぬけと言いおるわ。パルス侵攻が失敗したから豪族諸侯に罪をなすりつけているだけで、真実は王国首脳部が豪族諸侯を追い詰め焚き付けたのであろうにの」
へえ、根拠もなくそんな事を言っちゃうの?それだったら俺にだって言いたいことがあるんだけどね。尤も、こっちは根拠あるからね。言ったのは原作のあんた自身だし。
「おやおや、根拠のない憶測は頂けませぬな。我が国とても貴国の先々代ゴタルゼス二世の死因が何者かが弑した故だなどとは決して口にしませんのに」
「貴様、誰がやったと言いたいのだ!」
「まあ、脇道にそれた話はここまでに致しましょう。とにかく、此度は我が兄が即位後に和平を結びたく思っていること、それだけをご承知おき頂ければそれで十分でございます。では、此度のこのお話はここまで。後は兄の即位後に―」
その時、勢いよく謁見の間の扉が開けられ、何者かが入ってきた。いや、何者かはすぐに判った。
「父上、お話があります。聞いて頂けませんでしょうか?」
アンドラゴラスを父と呼ぶ者は唯一人、アルスラーン王太子のみだ。五歳で王太子となり、半年間だけ王宮で暮らしたものの、その後は乳母夫婦の下で養育されているが、居場所はうまく隠されており、諜者にすらも掴みきれなかった。故に流言を流させて釣り上げようとしたのだが、まんまと図に当たったようだな。
「呼びもせぬのに何しに来たのか。話ならまさに今このよそ者としておる途中だ。お前などの出る幕ではない。とっととひっこんでおれ」
うわあ、原作冒頭とほとんど同じ言い回しだ。いや、違うな。いつもアルスラーンが何か言うたびにこんな風に言ってたんだろう。ちょっ、それ虐待じゃね?アルスラーンはよくグレなかったも
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