第一章
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倒したくなくても倒す方法
龍燕ライヤは表の世界では高校生だが実は裏では探偵をしたりモンスター退治の依頼を受けたりしている、その助手は二つ下の妹だが。
その妹が家でくつろいでいた彼に携帯で話をした後に言ってきた。
「お兄ちゃん、仕事入ったわよ」
「ああ、どんな仕事だよ」
ライヤはテレビのドラマを観つつ妹に応えた、自分が好きな女優さんが主演を務めているので観ているドラマだ。
「今度は」
「モンスター退治よ」
「モンスターか」
「そう、そっちよ」
妹はこう兄に答えた。
「場所はK山で報酬は四〇〇万」
「四〇〇万か、随分大きい額だな」
「それだけ強いモンスターってことでしょ」
妹は兄に素っ気なく返した。
「それで受けるわよね」
「もう受けるって返事したよな」
「だってお兄ちゃんどんな仕事も受けるじゃない」
ライヤのその気質を知ってのことだ。
「だからね」
「それでか」
「お願いしますって返したわ」
つまり受けると返事したのだ。
「そうね」
「わかった、じゃあな」
「K山に行くのね」
「今度の休みにな」
つまり学校の授業がない時にとだ、ライヤもこう返した。そしてだった。
ライヤはその週の土曜日に妹と共にK山に向かった、K山に着いたのはすぐで彼はすぐに依頼の対象であるモンスターが出る場所に入ったが。
全長二百メートルはある禍々しい赤い身体のそれを見てだ、彼は仰天して隣にいる自分より二十センチは小さい妹に叫んだ。
「おい、何だよ」
「何だって何がよ」
「このモンスターだよ」
「大ムカデね」
妹は兄にここでもあっさりとした口調で応えた。
「大きいわね、四〇〇万の価値はあるわ」
「金の話じゃない、俺はな」
「ムカデ苦手よね」
「ムカデだけは苦手なんだよ」
こう妹に言った。
「それ御前も知ってるだろ」
「お兄ちゃんとずっと一緒にいるからね」
「じゃあどうして仕事受けたんだよ」
「どのモンスターかまでは聞いていなかったの」
「そんなの聞けよ」
「だってお兄ちゃんどんな仕事も受けるから」
ここでもこう言う妹だった。
「だからね」
「ムカデは別だよ」
これが兄の返事だった。
「俺は本当にムカデだけはな」
「足が一杯あってうねうね動いてね」
「顔は怖くてな」
「しかも色も気持ち悪くて」
「やけに細長くてな」
「大嫌いなのよね」
「どれか一つだったら平気なんだよ」
彼にしてもだ。
「だから蛇とかか蜘蛛は平気だろ」
「そっちの系列のモンスターはね」
「けれどムカデだけはな」
そうした要素が全部揃っているからだというのだ。
「駄目なんだよ」
「やれやれね」
「やれやれじゃない、こんなの相手にしていられるか
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