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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第一部 原作以前
第二章 対パルス使節団編
第七話 放浪楽士
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前に飛び出してきた。
私の存在に気付いて怯えて棒立ちになるウサギを、私は「大丈夫、怖がらなくていいんだよ」的なオーラを振りまいて安心させ、
瞬時に取り出した弓でウサギの喉元を撃ち抜いた。
「…な、何だ?今の…」
不意に誰かの声が聞こえた。男性の、高くも低くもないがどことなく楽器的な響きを持つ美声だ。諜者の仲間や使節団の誰かの声じゃあないね。場所は私の斜め後ろ、20ガズ(20m)程のところだ。
も、勿論、気付いてましたよ?気付いてたってば。特に私に対して殺気を向けてくる感じじゃなかったからスルーしてただけさ(震え声)。これでも諜者の端くれ。他人がそんな距離に居て、気づかないはずなんて無いじゃあないですか、あはははは。
そこに居たのは甲冑を身に付けた兵士、などではなく、弓を携えた旅人と言った感じの若い男だった。二十歳までは行ってないな、十八歳ぐらい?ちょっといい感じの刺繍の入った帽子と、同じような刺繍が入った上着が目を引く。背中に楽器みたいなものを背負ってる。あれは…、琵琶かな?赤紫色の髪と紺色の瞳をしていて、繊細な顔立ちのかなりのイケメンだ。私も殿下が居なければコロッと参っていたかも。
何だか、お化けでもみたかのような表情をしている。ぷん、失礼な!こんな美少女をつかまえて!
「い、今あんた、弓を構えてすらいなかったろ?それが一瞬で弓を取り出して撃った?狙いもつけずに?それが喉元に命中するなんて偶然か?」
ああ、それにビックリしてたのね。自分じゃフツーのことだからどうとも思わないんだけど。
「勿論狙って撃ったよ?私、早撃ちが得意なのさー」
「は、早撃ちって、そんな次元の話じゃねえだろ?まるで妖術だ」
「うん、よく言われるー。あと、弓の神に愛されてるとか、いや、あれだとむしろ悪魔の方だろとか。ところでおにーさん、何者?」
「あ、ああ、悪いな、急に声なんてかけちまって。俺はギーヴ、旅の楽士だ。…あんた、その肌の色、シンドゥラ人か?何でこんな所に?」
!ギーヴ?それって殿下が探してる弓も剣も人並み以上に使えるっていう放浪の楽士じゃん!そう言えば殿下から聞いてた人相風体とも一致するような!ラッキー!是非とも殿下の所にお連れしなきゃ!
「実はワケありでシンドゥラからエクバターナへの旅の途中なのさー。ねえねえギーヴさん、今おヒマ?」
「ん?まあ宛もない旅の途中だし、暇と言やあ暇だが?」
「護衛は一応居るんだけど、ちょっと頼りなくってねー。一緒に来てくれると心強いんだけど、どう?」
しかし、ギーヴさんは浮かない顔だ。平穏より波乱を好みそうなこの人の性には合わないかな?
「んー、護衛かあ。退屈そうな仕事だな。この平和なパルスじゃあ賊とか滅多に出ないし、悪いんだが…」
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