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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第一部 原作以前
第二章 対パルス使節団編
第七話 放浪楽士
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国都ウライユールから陸路で二日ほどで、シンドゥラ随一の港町マラバールに到着、そこから海路でパルス南部の港町ギランを目指した。海賊でも出るんじゃないかと思ったが、特に何事もなくギランに辿り着けてしまった。まあ、マストにシンドゥラ国旗を立てた船団に手を出せる筈もないが。

とは言え、ギランで情報収集を行うと、やはり海賊の被害があると言う。先を急ぐので特に海賊退治に勤しみはしなかったが、ギラン総督府と豪商数人の屋敷に、「海賊の黒幕はシャガード」との怪文書を矢文で投げ込ませておいた。くっくっくっ、せいぜい周囲から疑われるがいいさ、シャガード。ついでに立ち回りをしくじって自滅してくれれば更に良し、俺としてはどう転んだとしても少しも良心は痛まないね。

それから、諜者の一部を先行させて、エクバターナでとある流言を流させておこう。フゼスターンでは出来ればアルスラーンの力も借りたいし、ついでにダリューンやナルサスも引っ張り出したいところだからな。

諜者に矢継ぎ早に指示を出していると、ラクシュから「またこの殿下は悪巧みばっかりして」と言いたげな呆れ顔を向けられた。ふん、いいだろ、別に。『はかりごと多ければ勝つ』って言葉もある訳だし、打てる布石は出来るだけ打っておく主義なんだよ、俺は。いいからお前は狩りにでも行ってこい。今まで海路続きで魚料理ばっかりだったからな。そろそろ肉とか食わせてくれってんだ。

◇◇
フッフッフッ、フフフのフ、ようやく私、ラクシュの出番だねー。

いやあ、今まで全然出番なかったもんねー。前回ちょろっとセリフがあったくらいで。

どうもあの殿下は私をあんまり使いたがらないんだよね。それである時、

「どうして?やっぱり可愛い乳兄妹の手を汚すのは忍びないから?」と訊いたら、

「いや、あんまりお前を動かすと世界観が壊れるからな。頼むから、大人しくしててくれ。あと、息も吸うな」とか言うんだよ?ヒドくない?

そりゃあまあ確かに尋常でない特技を持っていると認めるのも吝かではないけどさ。でも活躍しないことにはメインヒロインの座は手に入らないじゃないのさ。

ちなみに、乳兄妹ってことになってるけど、本当は殿下より私の方が三歳年上なんだよ?当たり前だよね、私が先に生まれてるんじゃなければお母さんお乳出ないし、乳母にだってなれない訳だから。なのに殿下ったら「お前に姉成分を感じたことは一切ない。お前なんか妹で十分だ」だってさ。本当にヒドい。ツンデレが過ぎるわ、マジで。ツンデレとか何とか、いろいろおかしな言葉を私だけに口走る程に心を許してるはずなのにね。


使節団から一人離れて、気配を殺しながら草原に向けて馬を走らせる。うーん、獲物獲物、何処かに居ないかなー。

すると、折よく近くの茂みがガサガサして、ウサギが私の目の
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