第三章
[8]前話
「楽しく食べていきましょう」
「そうよね、美味しいなら美味しいで」
「それならね」
「楽しく食べていきましょう」
「パイもソーセージもね」
「そうしていきましょう」
「私まだ飲んだことないけれど」
ここでだ、こうも言った由紀だった。
「ここにビールがあったら」
「最高みたいね」
「それそのままドイツよね」
「ドイツはこれもだから」
ドイツの代名詞はジャガイモとソーセージだけではない、この酒を忘れてはドイツを語れないであろう。
「忘れたら駄目ね」
「じゃあね」
「私達大人になったらね」
「ビールも飲める様になるから」
ビールだけでなくアルコール類即ち酒全般がだ。
「成人したらね」
「ビールも欲しいわね」
「そうよね、じゃあ高校を卒業してもね」
由紀は友人達のその言葉を受けて言った。
「皆でこうしてね」
「友達でいましょう」
「それでこうして集まってね」
「美味しいもの食べて」
「ビールもね」
是非飲もうとだ、友人達も応えた。そして実際に由紀たちは成人してからも付き合いを続けていてジャガイモのポテトにソーセージだけでなくビールも飲む様になった。
だがここでだ、友人達は由紀がビールをどんどん飲む状況に驚いた。
「えっ、まだ飲むの?」
「五〇〇ミリの缶それで十本目よ」
「それでも飲むの?」
「うん、何かね」
その十本目を空けながらだ、成人している由紀は言うのだった。
「全然酔わないのよ」
「いや、ビール十本目でまだ酔わないって」
「由紀ちゃんどれだけ強いのよ」
「ひょっとして酒豪?」
「この前焼酎一升空けたけれど」
その時もというのだ。
「酔わなかったしね」
「まさかザルだったんて」
「由紀ちゃんがそうだったなんて」
「そんなこと思いも寄らなかったわ」
皆このことは想像もしていなかった、それでだった。
由紀の酒豪には驚いた、だがジャガイモのポテトとソーセージは美味くそれと一緒に飲むビールも確かに美味かった。日本の食材でドイツの味かどうかというとどうにもはっきりとは言えないものがあったが。
ドイツの味か 完
2018・7・25
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