第1部
アリアハン〜誘いの洞窟
洞窟にいざなわれて
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ケベジジイじゃねーかよ!!」
ナギはあきれながら叫んだ。
魔法の玉を手に入れたあと、一夜明けて朝早くレーベの村を出発した私たちは、次の大陸につながる旅の扉があるという、いざないの洞窟へと向かった。
洞窟の入り口は案の定土砂や瓦礫でふさがれており、猫一匹入れる隙間もない。
洞窟に入ったとたん、ユウリは無言で魔法の玉を手に取り、いきなりそれを思い切りぶん投げた。
「え!? それ投げちゃっていいの!?」
私は思わず叫ぶ。だが、勢いよく投げられた魔法の玉は、きれいな孤を描きながら、ふさがれた入り口に向かって落ちていった。
どごおおおぉぉぉぉおおん!!!
すさまじい爆発音が洞窟内に響き渡る。
「……………………」
私たちは、あっけにとられた顔でその様を見ていた。
「あんた……。それの使い方知ってたのか?」
「いいや。俺の勘がそう告げていただけだ」
ナギの問いにあっさりとそう答える。全くもってユウリらしい答えである。
「すごーい!! 入り口が見えてきたよ!!」
シーラの言うとおり、爆発による煙が晴れてその先に見えたのは、ぽっかりと開いた通路。その奥には、下へと続く階段のようなものがあった。
「こんな洞窟に階段があるんだ……」
すると、ここは俺の出番だと言わんばかりに、ユウリが私の真横に立って説明をし始めた。
「昔は船がない代わりに、『旅の扉』というものを使って大陸間を行き来していたんだ。造船技術が進歩した今では『旅の扉』を使うこともあまりなくなったがな。だから、『旅の扉』がある場所では、旅人が移動しやすいように人工的に作られたものが多い。ここも、そのひとつだ」
「てことは、この洞窟は人の手によって作られたって事?」
「その可能性は十分考えられるな」
「要するに便利ってことなんだろ? ぐだぐだ言ってないでとっとと先に進もうぜ」
そういってナギは先に洞窟の奥に進んでしまった。
「……あいつにはかしこさの種が必要だな」
それで知性をあげるつもりなんですか、ユウリさん。
とにかく私たちは、この洞窟のどこかにあると言う『旅の扉』を探すことにした。
階段を下りてすぐに目に入ったのは、穴ぼこだらけの地面。
あたりには土塊や大小さまざまな岩がごろごろしている。
「この穴って、例の土砂崩れのせいなのかな?」
穴をのぞいてみると、底はかなり深いらしく、まっくらで何も見えない。
もともとここの洞窟はナジミの塔と違って、ろうそくに灯された明かりしかないのだから、仕方がないのかもしれない。
「たぶんそーなんじゃねーの? ためしにあんた、降りてみれば?」
仲間になったばかりだというのに、全く遠慮のない態度。今まで同い年の男の子と話す機会があまりなかった私は、多少面食らいながらも、馬鹿に
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