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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
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第二章 対パルス使節団編
第六話 烈剣黒豹
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う気もしてきた。

そんなような事を取り留めなく考えたまま、馬をゆっくりと走らせながら、私はラジェンドラ殿下を凝視し続けていたらしい。

「んん?何だ?俺の顔に何か珍しいものでも付いているのか、ジャスワント?」

「いえ…、まあ愛嬌だけは有り余っているかと…」
そんな風にかろうじて誤魔化すと、何馬身も離れていたはずの殿下の乳兄妹のラクシュ殿が聞きつけて近づいてきた。

「愛嬌!そう愛嬌だけが殿下とラクシュの取り柄なのだー!」

「それしか取り柄が無いのはお前だけだろ、ラクシュ」

「ぶーぶー、私は弓だって得意だもん!」

「はいはい、そうだな、それだけはな!いいからお前は後ろにいろ、邪魔だからな」

「へーい、判りましたー」

そう言えば噂を聞いた事がある。ラクシュと言う諜者は弓の神だか悪魔だかに愛されていると。よく判らない表現だが、相当の腕前なのだろう。

後ろを向いてラクシュ殿が定位置に戻ったのを見届けた殿下は深い深い溜め息をついた。

「全く、困った家族だぜ」
そう小さくつぶやくのが聞こえた気がする。

そう言えば噂を聞いた事がある。ラクシュと言う諜者から愛嬌と弓を取ったら骨も残らないと。きっと殿下にとってラクシュ殿は目の離せない困った家族なのだろう。

突然、殿下が吹き出し、腹を抱えて笑いだした。

「?な、何かありましたか?」

「い、いや、家族つながりでさっきの宰相のセリフを思い出したんだけどな。『お前は私の息子じゃ、ジャスワント』って『じゃ』が二回も続いててちょっと笑えるよなってさ。くっくっく、いやあ、実はさっきも本当は思わず吹き出しそうになったのを慌てて堪えてたんだよ。くっくっく、はーっはっはっ」

こ、この御方は(怒)!前言撤回!この御方はただの頭のおかしな危険人物だ!今後も決して気を許さず、監視し続けなくては!

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