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優しい用心棒
第二章

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「実際に毎日洗ってもらっていますし」
「だからですか」
「はい」
 お嬢様の返事は明るいものだった、優しさだけでなくそれもあった。
「それでは」
「これからですね」
「楽しく遊びましょう」
 子供達と共にだ、こう話してだった。
 璃雨はお嬢様も交えて子供達と楽しく遊んだ、彼は子供達に心から慕われていた。
 そうした日々を過ごし子供達だけでなくお嬢様が可愛がっている犬や猫達の世話もしていた、その中でだ。
 スマホが鳴ってそれに出るとだ、彼の親友からのものだった。
「御前か」
「ああ、俺だ」
 スマホの向こうの親友は彼に笑っている声で言ってきた。
「久し振りに御前の声を聴きたくなってな」
「連絡してきたんだな」
「そうだよ」
 こう言うのだった。
「今日はな」
「そうか、今何をしているか」
「俺か?ハワイでアイスクリーム屋をしているよ」
 親友は明るく答えた。
「結婚もして子供もいるさ」
「ハワイか」
「ああ、そこにいてな」
「そうか、それでアイスクリームか」
「売ってな、結構繁盛してるぜ」
「それは何よりだな」
「ハワイはいい場所だぜ」
 親友は彼にこうも言った。
「昔のことを思うと夢みたいな暮らしだよ」
「お互い昔はな」
「ああ、暗かったな」
「思い出したくない」
 ここでだ、璃雨は親友に今は誰にも見せたことのない顔で述べた。
「あの時のことはな」
「お互いにな、けれどな」
「今はか」
「俺はそうして暮らしているさ、結婚もしてな」
「子供もいると言ったな」
「女の子が一人な」
 親友はこのことも自分から話した。
「いるぜ、家族もいてな」
「幸せに暮らしているか」
「客は観光客が多いな」
「というと日本からか」
「わかるか?奥さんも日系人だしな」
「そうか、それでその奥さんともか」
「幸せにやってるぜ、それでな」
 親友からだ、彼に言ってきた。
「一ついいかい?」
「俺のことか」
「その声の調子だと御前も随分いい生活送ってるみたいだな」
「ああ、充実している」
 璃雨は親友に微笑んで答えた。
「いつもな」
「そうか、いつもか」
「ある人の用心棒をしていてな」
「そのうえでか」
「幸せに暮らしている」
 そうしているというのだ。
「今もな」
「それは何よりだな、確かにそれはわかるな」
「声でか」
「暗い生活してると声もな」
「暗くなるからな」
「暗い生活していて明るくなれるか」
 性格、それがだ。
「そしてそれが声に出るからな」
「そうだな、昔の俺はな」
「そんな声出していなかったからな」
 それも全くというのだ。
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