第一章
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優しい用心棒
璃雨はある富豪のお嬢様の用心棒をしている、その富豪の家の主は今はそのお嬢様が務めている。まだ学生だが大富豪となっているのだ。
璃雨はいつもお嬢様の傍に執事と共にいる、執事は端麗な顔立ちの青年だが。
その彼にだ、璃雨はこう言われた。
「前から思っていますが」
「何だ」
「あの、璃雨さんは以前は」
「前の仕事か」
「何だったんですか?」
「言わないといけないか」
璃雨は執事に顔を向けてこう返した。
「そのことは」
「あっ、お嫌でしたら」
それならとだ、執事は璃雨に穏やかな声で応えた。完全に表社会しか知らない人間でお嬢様にいつも真面目に仕えている好青年だ。
「いいですが」
「そうか」
「ただ。僕の予想ですと」
執事は璃雨に気品のある声で応えた。
「幼稚園の先生か動物園の飼育員さんか」
「何故そう思う」
「子供や生きものにいつも慕われているので」
これは実際にそうである、璃雨は子供や動物にはいつも慕われていて懐かれているのだ。小鳥も子犬も小猫も自然に寄って来る。
「そうじゃないかなって」
「思うのか」
「はい」
そうだというのだ。
「違いますか?」
「そう思うならいい」
これが璃雨の返事だった。
「あんたがそう思いたいならな」
「それじゃあそう思っていいですか」
「それならな」
「はい。それで」
こう言ってだ、そしてだった。
執事は彼の前職を幼稚園の先生か動物園の飼育員だと本当に思う様になった。そして実際に彼はいつもだ。
子供や動物達に囲まれていた、お嬢様が慈善事業で孤児院を多くの贈りものや寄付と共に訪れた時もだ。
彼は子供に囲まれていた、それで子供達に言われていた。
「おじちゃん来てくれて有り難う」
「また遊ぼうね」
「そうしようね」
「ああ、じゃあ何をして遊ぼうか」
璃雨も子供達に優しい顔で応えた。
「今日は」
「鬼ごっこしよう」
「かごめかごめがいいよ」
「いや、缶蹴りだよ」
「だるまさんが転んだがいいよ」
「そうだな、じゃあ順番に全部遊ぶか」
璃雨は子供達の言葉を聞いてこう言った。
「そうするか」
「あっ、一つをやるんじゃなくて」
「全部するの」
「順番にそうするんだ」
「そうしたら全部楽しめるだろ」
璃雨は子供達に優しい声で語った。
「だからな、順番にな」
「全部するんだね」
「そうして遊ぶんだね」
「ああ、そうしよう」
「ではです」
ここで彼が仕えるお嬢様も言ってきた。
「わたくしも」
「お嬢様もですか」
「はい、是非」
気品のある優しい声と笑顔だった、それは身なりだけではなかった。
「そうさせて下さい」
「いいのですか?遊ばれると」
「服がで
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