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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第一部 原作以前
序章 シンドゥラ編
第五話 求婚成否
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かりだな。ルシタニアなどはるか西方の貧乏国だろう?それがパルスを倒す?逃げ延びてくるのは王太子だけ?あのアンドラゴラス王が討たれるとでも?それにあの弟がパルス人にそんなに信用されると言うのか?」

「私もその辺りの事は指摘しましたわ。でも、彼は『必ずそうなる。俺は判ると言うより、そうなると知っているのだ。何故ならこの世界はアルスラーン戦記と言う物語の世界だからだ』と…」

「…シンドゥラ王家は200年以上、狂人を身内から出してない事が自慢だったんだがな。あいつ、もうどこかの寺院にでも幽閉した方がいいかもしれん」

「諜者の一族が彼を素直に渡すとは思えませんわ。しばらく機会を伺うしかないのではないでしょうか?」

「くっ、頭が痛い。頭が痛いぞ、私は」

殿下は頭を抱えながらフラフラとし、寝台に倒れ込んだ。そして、こちらをチラリと見る。

「なあ、癒やしてもらえるか、いつものように」

ええ、癒やし合いましょうか、寝台の上で、一糸まとわぬ姿になって。


そして、事が終わった後、私は気になっていた事を訊いてみる事にした。

「そう言えば、さっき仰っていたのは本当ですの?本当に王家からは200年以上狂人が出ていないと?」

「ああ、あれはとある人の有名な言葉の真似なのだよ。本当に出ていないかは確かめないとならないな」

「まあ、そうだったのですね。それでどこのどなたの?」

「ここから遥か遠くにあるフェザーンと言う国の、ボリス・コーネフと言う男のね」

◇◇

「で、ガーデーヴィ兄、俺に頼みたい事って何だよ?」

こんなぞんざいな言葉遣いが出来るのも、謁見の間ではなく、人払い済みの摂政執務室に呼び出されているからだ。どうも内密の要件であるらしい。

「お前にはパルスへ行って欲しいのだ。そして、次の代の私の治世からはシンドゥラはパルスと友好関係を結びたいと伝えて欲しい。まあ、今のところは打診のみで構わないがな」

ああ、確かに去年、シンドゥラはトゥラーンやチュルクと共にパルスに攻め込んだばかりだからな。一応、あの戦の直後には弁明の使者を出したが反応は芳しくなかったし、一朝一夕に友好関係は難しいかもしれない。だが、代替わりを控えた今攻め込まれても困るし、打診と共に時間稼ぎをしたいと言う事か。

そう言えば、そろそろあの出来事が起こる頃合いだったっけ。それが起こるのを防いでしまえば、また大きく歴史が変わる。アルスラーンの翼将の数が変わってしまうかもしれない為、以前はどうすべきか迷っていたが、最近肚が決まった。例え歴史が変わったとしても、幾人もの人間の運命を捻じ曲げたあの出来事を必然などと俺は呼びたくはない。俺の力が及ぶならば、防ぐ為に行動すべきだと思う。万事狙い通りに事が運べば、あの恐ろしい敵の一
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