純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 3
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がら、くすくす笑うプリシラ様。
楽しそうな顔のどこにも、裁く者の気配は感じない。
……裁く気が、ない?
「さて。人数が人数だけに、諸々の買い足しにも対外的な理由が要るわね。付いて来なさい、ミートリッテ」
「っ はい」
クロスツェルさん達が囲むローテーブルの上に紙とペンを置いて廊下へと出ていくプリシラ様の後を追い。
一度室内に振り返って頭を下げてから、静かに扉を閉め、鍵を掛ける。
閉じ込められた男性達は、私達の姿が視界から外れても呆然としていた。
「どうして何も言わなかったんだろう? って顔ね」
人ひとりすれ違わない廊下の途中。
私の半歩斜め前を歩くプリシラ様が、前を向いたまま呟いた。
「やっぱり、隠し切れていませんか」
「ここに来た当初よりは成長してるわ。でも、社交界では通用しないわね。アリア様が顕現された程度で声を上げたのも減点。そうと匂わせる情報は、いくらでも入っていた筈よ。疑惑が確定しただけのことで動揺してはダメ」
「気を付けます」
(いえ、女神顕現の辺りは、今でも半信半疑ですけども)
見た限り、ロザリアという少女は至って普通の人間だ。
金より白に近く、銀より黄金に近い不思議な髪色は、珍しいと思うが。
それ以外に変わったところは見当たらなかった。
眠っているせいかも知れないけど。
私やプリシラ様から見て、彼女が女神アリアであると認められる根拠は、施錠してあった室内へ唐突に現れたことや、リーシェさんの容姿が人間とは明らかに違っていること、語られた内容に一応の筋が通っていることだけ。
今は本体に戻っているという、悪魔べゼドラの所在も確認できてないし。
肝心なロザリア様が眠ったままで、一言たりとも発していないのだ。
信じ切るには、まだまだ情報と証拠が足りてない……、のに。
プリシラ様は何故か、クロスツェルさんの話を疑ってない。
疑おうとすらしていない。
(お父様が居るから……かな?)
アルスエルナの第二王子エルーラン殿下を、プリシラ様は信頼してる。
それはきっと、互いが互いの人格と力量を認め合っているから。
プリシラ様が優位に物事を運んでいるように見えた先ほどの一幕だって、二人共、互いの領分に踏み込もうとはしなかった。
物事の分担は、それぞれの根底に信頼がなければ、成立しない。
(プリシラ様の領分に関わる話でエルーラン殿下が嘘を吐く筈がない、か。でもそれじゃ、私が彼らを信じるに足る根拠にはならない)
なにせ私は、自業自得とはいえお父様に騙されまくった経験の持ち主だ。
お父様の力量は疑いようがなくても、所業を信じるには、ほど遠い。
心情的に。
「ねえ、ミートリッテ」
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