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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第一部 原作以前
序章 シンドゥラ編
第四話 長兄豹変
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た。

反乱があっさり鎮圧されると、今まで好き勝手に国政を左右し私服を肥やしていた腐った側近どもや豪族たちは力を失い、変わって清廉派の官僚たちが台頭し、国家の車輪を円滑に回し始めた。

兄はいつかの「もうお前とは遊ばん!ここにもお前は来るな!」との言葉を詫びながら撤回し、俺もそれを受け入れた。以前の様に俺を「卑しい生まれの癖に」と罵ることも、絶えず漂わせていたギスギスイライラなオーラもなくなり、気安く付き合えるようになった。

十五歳の誕生日を迎えて以降は俺も王宮で暮らすようになったが、兄と俺は連れ立って時折王宮をこっそり抜け出しては、街に繰り出すようになった。一緒に大道芸人の踊りを見物したり、商人と景気の話をしたり、酒場で庶民たちに混じって酔って騒いだり、気前よく酒を振る舞ったりした。

その癖、王宮を抜け出した俺たちを衛兵が探しに来るといつの間にか兄は姿を消していて、俺だけが見つかり衛兵に雷を落とされる。

「いや、たった今まで兄も一緒に居たんだ!そうだよな、皆!」

と周りに言っても既に口止めが済んでるのか、

「いやあ、そんな事はありませんでしたよ」

「ここに居たのはラジェンドラ王子だけだったじゃないですか」

とか言われる。

それで余計にくどくど言われ、王宮に無理やり引っ張って行かれると、いつの間にか王宮に戻っていて湯浴みでもしてさっぱり酔いを消したとおぼしき兄が、

「何だ、またお前は街に繰り出して酔って騒いでたのか?少しは落ち着いたらどうだ?」
なんて言ってくるのだ。

…殺したい、この兄貴!要領がいいのは俺の専売特許だったはずなのに、どうしてこんな事に!

その上に、更に腹の立つばかりが続くようになる。

「お前の立場を考えて手を抜いていたが、それではかえってお前のためにならんと判ったのでな」と学問でも武術でも圧倒的な差をつけられるようになり、

「ガーデーヴィの献策はどれも理にかなった見事なものばかりじゃ。未だ余喘を保っていた不平豪族どもを隣国と共にパルスに攻め込ませ、パルス軍に一掃させると言う策も図に当たったしの。それに比べてお前のはな…」と親爺にまで言われる様になり、

そして、シンドゥラ暦317年に入ると兄ガーデーヴィ王子の立太子が正式に決まる事となった。同時に、体調が優れず、無理が効かない父上に代わって摂政として政を動かす事も。

…ちょっと待て!思い切り歴史かわってるやん!原作始まってもずっと決まらないままの筈だったやろ!クッソ、どうしてこうなった?

ちくしょう、だったら俺だって思いっ切り歴史を変えてやる!

本来兄嫁になる筈のサリーマを、俺の嫁にしてやんよ!




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