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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
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序章 シンドゥラ編
第四話 長兄豹変
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背を向けた豪族たちの中には、

「王室が臣下を蔑ろにするのなら、我らも従順な臣下ではいられませんな。次は戦場でお会いしましょう!」と叛意を隠さず言い捨て、領地に籠もって着々と軍備を整えている者もいるのですぞ!

どうすればいい。どうすればこの愚行を止められる。くっ、この愚弟め、何を冷笑してやがる。確かに無様な姿だが、こんな状況を作ったのはお前なんだぞ!

そうだ、いいことを思い付いた!ここにある全ての酒と強精剤を無くしてしまえばいい!

私はそこにあった大量の酒を次々と飲み干し、強精剤を片っ端から酒と一緒に流し込み、全てを平らげ、哄笑と共に言い放つ。

「さあ、酒も強精剤も全てなくなりましたぞ、父上!そろそろ政務に戻られてはいかがか?」

父上も、女どもも、弟も、そこに居合わせた全ての者が私を呆気にとられた顔で見ていた。ふふ、何だ弟よ、その間抜けな顔は?久々に溜飲が下がった…ぞ?

突然頭の中で血管がブチ切れた様な音がしたと思ったら目の前が真っ赤に染まり、世界がくるくると回った。私は倒れたらしい。

その後、朦朧とした意識の中で、横たわる私の手を握り締めて泣きながら何度も私の名前を呼ぶ父上に、
「父上、もうこれ以上酒と女に逃げるのはおやめください。この国を守れるのは父上だけなのですから」と何とか口にした。つもりだったが、果たして口が回っていたかどうか…。何度も泣きながらうなづく父上の姿が見えたのを最後に、私の意識は闇に飲み込まれた…。


◇◇

兄が意識を取り戻したとの知らせを受け王宮に駆けつけると、見たこともないくらい穏やかな表情の兄に迎えられた。さすがにまだ完全に床からは離れられないようだが、顔色もそれ程悪くも無い。だが、俺を見る目が、口元の笑みが、佇まいまでもが違う。何だ、これは。目の前にいるのは本当に我が兄ガーデーヴィなのか?

「…兄上、何だか変わられたか?もしかして前世の事でも思い出されたか?」

「ふふ、何だお前はいきなり妙なことを言って。何か悪いものでも食べたのか?」

いや、それはあんたの方だろうよ…。ってか今の口調も何だ?イライラ成分が含まれてないこの兄の言葉を聞くのなんていつ以来だ?

「生死の境を彷徨ったのだ。さすがに思うところはいろいろある。人が変わったように見えもするだろうさ。それより、南方の諸豪族に反乱の兆しがあるんだったな。プラケーシン将軍辺りに戦の準備をさせておけ。父上には私の方から口添えしておく。それと、バハードゥルにも戦に出てもらうぞ。あれ程の勇士、遊ばせておくのは勿体ないからな」

「あ、ああ判ったよ、兄上…」

本当に一体どうしたんだよ、まともになりすぎだろ、この兄。


やがて起こった反乱は瞬く間に鎮圧され、バハードゥルもかなりの戦功を上げ
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