22話→家族(後編)
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が…………
残念ながら、仕事外でやることがある。
正直、一夏の相手をしたことを含め、一日行った事を総計すると、体力が非常に高い太郎をして、疲れたと言い放つ量があったが、『これ』は後回しに出来ない。
ドアを開け、デスクの一番端にある封筒を開く。
なんのことはない。このIS学園の入学書類だ。
必要事項を入力すれば終わり。簡単なモノである。
通常の学校なら。
まあ、未成年ながらも、扱うのはこの世界の最新兵器、軍事機密である。
国からの推薦書類や、身元を確認する書類など、山ほど取り寄せたり書く書類が存在する。
で、一夏は更に初めての男子高生。
事が露見した時点で、マスコミに追っかけ回される事、確定である。
まあ、『度が過ぎた』やつには此方で処理できるが…………
俺ら『本人』を探すダシにしようものなら、即人生ボッシュートだが、今のところ、俺達の関係者でしかない一夏を、余りに特別扱いすると、本人にも、周りにも良くない。
かつて自身達を取り巻く環境から、その状態が一夏のような普通の感性をもつ者には毒にしかならないと『実感』している太郎は、だからこそ、『ここぞ』という時にしか手を貸す気はなかった。
(だけど…………こんくらいは良いよな?)
IS学園は全寮制、かつ、マスコミ関連は厳しい許可を潜り抜けた一部企業しか参加不可。
更に、一度やらかせば、原則許可は取り消され、再度許可をもらうには年単位の待機時間が必要な場所だ。
つまり、入学後に、無闇に外に出なければ、『一応』そういったプライバシー含めた身の安全は保証される。
つまり、一部の有力者しか一夏がIS装着可能な事を知らない今、この書類を仕上げておけば、一夏が書類の不備等で外に出て、結果、市役所等で客寄せパンダになり、辛い思いをしなくて済むということだ。
まあ、これは兄貴からの『プレゼント』ってことでいいだろ。
恐らく、千冬や束が聞けば『ブラコン』と言われるであろうとうっすら自覚しながら、太郎は書類関連を自室のデスクに広げた。
さて、日付変わるまでにはすませるか。
太郎の夜は続く。
??????????????????????
その頃、一夏は自分用に用意していたという部屋で、ベットに一人寝そべりながら考えていた。
結局、聞けなかったな…………
七年前、兄貴が珍しく真剣な声で伝言を頼んだあの日、何が起こったのか?
食事中聞いてみても、曖昧な笑みを浮かべながら、結局、兄は何も口にしなかった。
(答えられない、か。まだ俺は、兄貴に守られる存在のままって訳かよ)
更に兄を問い詰めることは可能であった。
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