22話→家族(後編)
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『千』に、お前の『夏』を合わせて千夏。可愛い女の子だ」
そう言ってピンク色のモコモコパジャマを着た赤ン坊を抱き上げ、あぐらの中にすっぽり納める。
この場所がお気にいりなのか、両手を叩いて喜ぶ千夏。
その動きに満足感を得ながら、次に近くに寄ってきた青いパジャマを着た男の子を抱き上げる。
「この子は結太。『束』ねると意味が似ている『結』ぶに、俺の太郎の『太』で結太だ」
そう言って次は右の太もも横に置くと、結太は何が楽しいのか、ペシペシと俺の太ももを叩いたり顔をグリグリ当てたりし始めた。
「か、可愛ぅいリィー!」
一夏の言語中枢が壊れ始めた。
まあいい、後は一人だけだし。
そう思いながら、気づけば太郎の左側で服を引っ張ったり押したりしている黄色のパジャマの赤ン坊の頭をそっと撫でた。
「この子は光(ひかる)。女の子だ。光のように可愛いだろう」
最後に『ヒカルノ』の子供を当たり障りなく紹介したが、どうやら深く突っ込まれる心配はなさそうだ。
手を目の前で組んで、祈るように言葉を紡ぐ一夏。
「…………悪い大人、見本筆頭三人から、こんな可愛い子供が生まれるなんて…………神よ!感謝します!」
言うね、お前も。
事実ではあるが、そこまでハッキリバッサリ言われると腹が立つ。
腹が立ったので、おしめを換えさせてみた。
『我が世の春が来た!』
はっや、しかも丁寧。
余裕でこなしてるよ。
くそ、誰だよこの男を家事万能にしたのは!
…………俺だわ。
そんなセルフボケ突っ込みをしながら、なんか悟った聖人みたいにアルカイックスマイルを浮かべながら、子供達の面倒を見る一夏を見る。
これ、外に出たら小鳥が自ら止まりにきそう…………
これは、一夏のヤバイ扉を開いてしまったかもしれん。
身体中に赤ン坊をまとわり着かせながら、仏像ポーズでスマイルを絶やさない一夏にちょっとビビりながら、太郎は一夏と残り二人に赤ん坊を任せて、キッチンに向かった。
決して、今の一夏が怖かったからではない!
と、冗談はともかく、一夏も(主に千冬のせいで)苦労してたし、少しは甘やかしてやろう。
飯の準備くらい、今日は俺一人で準備してやるか。
冷蔵庫横につけてあるエプロンをつけながら、太郎は準備をする。
七年越しの、家族団らんの食卓を。
夕食は和やかにすすんだ。
途中、一夏の『俺に姉はいない、兄だけだ』宣言にまた白目剥いてるアホがいたが、まあ許容範囲内だろ。
疲れているだろう一夏に、早く休むように言って、太郎は仕事部屋に向かった。
さて、後は俺も急ぎの仕事は無い
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