Ep6 悔恨の白い羽根
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だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ――!」
絶望に打ちひしがれ、リクシアの心に魔物が生まれる。人は心を闇に食われたら、魔物になる。その原因は、いたるところに転がっている。リクシアの心を急激に冒していく絶望。それは次第に大きく――。
――ならなかった。
なる寸前で、声がした。
今は魔物になり果てた兄の、リュクシオン・エルフェゴールの、
「自分を見失わないで」そんな、声が。
それは彼の口癖だった。
光が、はじけた。
数瞬後には、リクシアは元のリクシアになっていた。
そして、己の犯した過ちを知った。残酷なほどに明確に、意識した。
彼女が「助けない」選択をしてしまったことで、仲間になってくれると申し出てくれた人を傷つけたという事実は消えない。立場に惑い、仲間を救おうともしなかった事実は、消えない。
だから。
「……わかったわ」
リクシアは小さく呟いた。
「私はまだ甘い。だから、あなたたちとは一緒にいないほうがいいかもしれない」
そして精一杯、頭を下げた。
「――ごめんなさい」
その謝罪を聞いて、フィオルが柔らかく微笑んだ。
「謝罪は受け取っておく。でもこの事実は、消えないから。リクシア、あなたは会ったばかりの人の誠意を、粉々にしたんだよ」
リクシアは涙を流しながらも頷いた。
「わかっているわ。だからもう、別れることにする」
最善の選択なんて、わからない。それでもこうなってしまった以上、もう一緒にはいられないのだろうとリクシアは思った。
それは決定的な、断絶。
自分の過ちを素直に認めたリクシアに、フィオルは一つ、問い掛ける。
「本当に短い間だけれど、僕たちと出会えてよかったって、思ってる?」
そんなフィオルに、泣き笑いのような表情を浮かべながらもリクシアは返した。
「あなたたちとの出会いは、一生の宝物よ」
そっか、とフィオルは頷いた。
「なら、別れもいい別れにしよう。僕らはフロイラインを目指す。でも、君は進路を変えてね」
「ええ」
その答えを聞いたフィオルの背から、純白の翼が生えた。リクシアは驚きの声を上げる。
「え? ……ええっ!?」
真白な髪に青い瞳、背中から生えた純白の翼。
フィオルは天使だった。
悪魔とは違って人々から崇められ、神の使いともてはやされる、悪魔とは対極に位置する聖なる一族。天から来た、神の使い、救いの使徒、天使。
フィオルは、天使だったのだ。
「こんな姿にならないと、もうアーヴェイは治せないからね……。餞別に、あげるよ、リクシア」
言ってフィオルはその背から、純白の羽根を一枚抜き取りリクシアに渡す。
「ここで僕らの道は分かれる
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