暁 〜小説投稿サイト〜
ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第一部 原作以前
序章 シンドゥラ編
第一話 決闘敗者

前書き [1]後書き [2]次話
ろくに受け身も取れないまま、俺は背中から闘技場の地面に叩き付けられた。

「ぐはっ!」

一瞬息が詰まった。叩き付けられた痛みが全身に広がり、気力を根こそぎ奪われるが、このまま寝ていては敗北必至だ。すかさず立ち上がり、手放してしまった剣を探そうとするが、

「残念だったな、我が弟ラジェンドラよ。これで勝負ありだ!」

鼻先に突きつけられたのは俺の剣だった。憎らしいほど穏やかな微笑を浮かべながら俺を見下ろすガーデーヴィの姿には一分の隙もなく、敗北を認めざるを得なかった。

「俺の…負けだ…」

数瞬静まり返った見物席が、爆発するかのような歓声と怒号に包まれる中、

「ガーデーヴィの勝ちじゃ。シヴァ、インドラ、アグニ、ヴァルナ…、あらゆる神々も照覧あれ。次のシンドゥラ国王は、ガーデーヴィにさだまった!」

父カリカーラ王の、原作通りで、名前のみが違う宣言が場内に響き渡り、一層歓声が高まる。「ガーデーヴィ、新しき国王!」などと言う叫びも起こった。

そんな中、

「ラジェンドラ様!」との悲痛な叫び声が聞こえた。
見物席を見上げると乳兄妹のラクシュが俺に駆け寄ろうとしてるのを、母親のカルナが必死に押し留めているのが見えた。その横には、バハードゥル、ジャスワント、フィトナ、レイラ、パリザード、ギーヴ、皆沈痛な表情を浮かべている。…いや、ジャスワントの口元には微かに笑みが見えるな。あんちくしょう、やっぱり心情的には向こう側かよ!くたばりやがれ!まあ、あいつの事は置いておくとして…。

皆、済まないな。俺の人生に強引に巻き込んで、味方になってもらったって言うのに、肝心の俺が勝手に神前決闘なんかに挑んで、こんな有り様になっちまって。弁解のしようもねえや。


シンドゥラ暦321年、パルス暦では320年の、十月一日。ほぼ半月後に行われるアトロパトネの戦いを待たずして、言い替えるなら、原作の開始を待たずして、俺は兄ガーデーヴィとの神前決闘に敗れ、原作におけるシンドゥラ編部分を完全に崩壊させた…。









前書き [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ