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リリなのinボクらの太陽サーガ
新生のフォックス
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き光栄ってね。そんなことよりも、なんで君を撃った俺をトンネルの崩落から助けたんだ? 俺は君の自由を奪おうとする管理局側の人間なのに」

「……敵になっても、過去に受けた恩が無くなるわけじゃない。だったらこの程度の恩返しぐらい、誰だってするはず……」

「人間ってのは普通、一度裏切られたら今までの事を忘れて掌を返したように攻撃的になるものなんだ。だから……その考えはむしろ貴重だ。俺にとってはありがたい話なんだけどね」

「今まで悪いことを一度もしなかった人が悪さをすると、とても酷い人間だと思われる。逆に今まで悪さばかりしてきた人間がたまに良い事をすると、実は良い人だと思われる。今までの積み重ねを簡単に捨て去り、最新の出来事に対する評価だけで人柄を判断する。人間にとって過去とは、そんなに軽いものなの?」

「いや、軽くはない。でも普通の人は目の前の感情や衝動に引っ張られてしまうんだ。過去の積み重ねを無視してしまうのは、事が起こった時にそれを思い出せず、沸き上がった感情や裏切られた怒りに支配されるからなんだ。あと、喜びや嬉しさといった感情を保持したいがために、怒りや憎しみといった負の感情を抑え込もうとする時もあるな。ほら、アニメや映画などのフィクションで誰かが助かったり許されたりするシーンが何かと美徳扱いされる傍ら、復讐を果たそうとする人はやたらと悪役(ヒール)扱いされるだろう? 彼らはただ、過去を蔑ろにしたくないだけなんだがなぁ」

「……ティーダ、やっぱりあなたは優れた人間だ。だからこそ、お願いする。今は余計なことをしないで。私はあなたを害する気はない。でも私を捕まえようと……世界の傀儡にしようというのなら、恩人だろうと私はそれ相応の態度をとらせてもらう」

「ああ……わかった、今は大人しくしていよう。(彼女の意思はどうであれ、レジアス中将のことだから確実に次の手を打ってくるだろう。でもあの人が何かすればするほど、彼女に悪影響ばかり与えている。……自らの意思を踏みにじられ、他人の手で強引に“正義の味方”にされることは、確かに“世界の傀儡”なんだろうな……)」

「……」

何を考えてるのかわからないが、ティーダが大人しくしてくれるっていうのなら構わないか。管理局員の中でも、実力だけ見ればゼストのように彼より強い奴はいるが、頭の回転の速さでは正直レジアスより上だと思ってる。正直、あんな組織の一員にしておくにはもったいないレベルだと思う。

にしても……墓場にいると思う。私は独特の静寂、死者の想念に最も近くいられる雰囲気、優しくも懐かしい過去を思い出せる墓所が……とても居心地が良い。アンデッドとは死者でありながら生者のように動く存在……であるならば、私は生者でありながら死者のように動く存在とも言える。

ならば夢も生き甲斐
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