新生のフォックス
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管理局などの余計な敵の介入を招きかねない」
ケイオスとトーレの言葉にチンク達も同意を示したことで、早速私達は移動を開始した。墓石に隠れたり、草むらに身を潜めたりして進むうちに、私は次元世界ではあまり見られなかった、全身が包帯に覆われた真っ白な敵に気づいた。
「ストップ、あれはマミーだ。あいつは音に敏感だから、足音を立てたらすぐに気付かれるよ」
小声で忠告すると、皆の間に漂う緊張感が少し増した。……でも、マミーならまだ対処は楽な方だ。
なぜかジャンゴさん達はやらなかったが……手頃な小石を拾った私は、進行方向とは関係ない方向に向かって放り投げる。マミーの頭上を通り越した小石は向こう側の墓石にぶつかり、カチンッと小気味良い音を立てた。
「!」
想定通りに反応したマミーは音のした方へ向かった。私は音をたてないように移動しながら、小石を投げてマミーを遠くへ誘導する。誘導しては移動し、誘導しては移動しを繰り返すことで、聴覚が強い敵をやり過ごすことができた。
「ん……今までのことを見て思ったけど、シャロンは直接戦うのが下手なだけで、戦術や戦略は巧いのかもしれない」
「それは私も思ったわ。彼女、脳内の情報処理は驚くほど早いのよ。戦闘機人の中でも情報処理能力は上位であるこの私でさえ、素直に称賛するほどにねぇ」
なにか後ろでコソコソ話してる気がする。内容が少し気になるけど、別にどうしても知りたいって訳じゃないから適当に聞き流しておこう。
「う、ぅ……ここ、は……って!? お前達なんで!?」
「あ、ちょっ!?」
あちゃぁ……ティーダが目を覚ましたせいで、彼が驚きのあまりに大声を出してしまった。トーレの近くにいたウェンディが慌てて彼の口を押えたものの、周囲から一気に集まってくる闇の気配に彼らを含む一同は、一様に口を閉ざした。
「……」
辛うじて位置までは気づかれなかったが、今、ほんの少しでも音を立てたら、この場に集まったマミー12体が一気に襲い掛かってくる。動いたらダメ、という状況はどこか“だるまさんが転んだ”を彷彿とさせた。ただしこっちは命がけだが。
ティーダもマミーの特性は察したらしく、無言で頷いた。彼はトーレに「任せろ」と口パクで伝えると、チャージ音すら出ないビー玉サイズの小さな魔力弾を作り出し、墓所の草むらを潜り抜けて遠くへ向かわせる。
ポンッ。
「!」
周囲をうろちょろするマミーが私達の体に接触しかけたその時、今の魔力弾が軽い爆発を起こしたことで、その音に反応したマミーは私達の近くから離れていった。足音が聞こえないほど離れた所を見計らい、私達はその場を忍び足で移動した。
「………ふぅ、撒いたみたい。今の魔力弾は良い使い方だったと思うよ」
「歌姫さんにお褒めいただ
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