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リリなのinボクらの太陽サーガ
新生のフォックス
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いのだ」

「……」

知らないことはやれない。確かにすっごく当たり前の話なんだけど……考えてみれば、これは他人に常識を押し付けてしまうヒトがうっかり忘れてしまう言葉だと思う。自分や知り合いの皆が知ってるんだから、相手も知ってるはずだと。こちらの正義を相手も理解してくれるはずだと。
でもそれは違う。それは自己を大衆と同一化することで、多数の力を得た気になってるだけだ。何の疑念も抱かずに誰かのミームを受け入れ、それを周りにも守らせようとするのは、ただの思考停止だ。

「彼にとっては殺し合いこそが愛情表現、唯一親愛の意を示せる行為。公爵のミームのみを受け継いでいるからこそ、他人への対応が未熟なのだ」

「ほ〜なるほどなぁ。俺達のような大人と違って、子供は何が正しくて何が間違ってるか、その境界は人生経験によって築かれるものだしな」

「子供は善悪の境界が定まっていない……うん、私としたことが失念してたよ。エリオも誰かに導いてもらう必要がある子供だということを……」

昔、私達もサバタお兄ちゃんに導かれたようにね。今思えば、あの時サバタお兄ちゃんに自分で考えて動くことをしっかり教えてもらってなかったら、私は次元世界のミームに何の疑念も持たないまま心まで完全に感染してたかもしれない。自分で考えるってのは、殊の外大変だもんね……。

「フッ、だが呪いを刻まれた今のお前では、救済のつもりで差し伸べた手が破滅をもたらす。クローンから見れば、文字通り全身が凶器になっている。故にエリオとの契約が何らかの形で改善されるまでは、人の多い場所に近づくべきではなくなった。もし人混みの中にクローンが一人でも混じっていたら、呪いが発動してお前はそのクローンを殺すことになる。それにアウターヘブン社が保護した子供は、半数以上がクローンとして生まれた者だ。忠告してやる、フェイト・テスタロッサ。呪いがある間、お前は目隠しか拘束具でも着けておけ。あるいはどこか人気のない場所で療養でもしているがいい」

「いやそんな拘束されてる姿、誰かに見られたくないよ!? でもまぁ、呪い対策としてはそれぐらい必要だし、怪我のことも考えるとやっぱり病院で療養するべきなのかなぁ……」

「あ〜、コイツの言い方にヒトへの気遣いが一切ないのは俺もわかるが、それでも言ってる内容は至極もっともなんだよなぁ。俺の家の事情も鑑みると、娘達に近づけさせるわけにはいかねぇし……」

「娘?」

「エターナルブレイズのお前さんだから信頼して言うが、俺の娘は妻のクローンを素体にした戦闘機人だ。以前、どっかの違法組織が生み出したのを、俺とクイントが助けて引き取ったんだよ。で、素体がクローンならお前さんの呪いが発動する範囲に入っちまってるから、事が終わるまで娘に近づかないで欲しいってこった」


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