新生のフォックス
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捕らえたのに解放していいのか?」
ちょっと焦った様子でトーレが尋ねるが、私は無言で頷いて彼と向き合う。
「この一度だけだ。この一度だけ何もしないであげるから、帰って」
「え!? い、いいのか? 俺は君を……」
「だからと言って、あなたを拘束してしまったら奪還の名目で管理局が動き出す。今回、私を助けるためにアウターヘブン社が動いたのと同じように。……よく聞いて、ティーダ執務官。敵を間違えるな、自分に忠を尽くせ」
「忠……?」
「あなたが戦う理由は、妹さんのためなんでしょ? トンネルであなたが言ってた……」
「ああ……」
「家族や大事な人を失う辛さは、私もよく知ってる。その人が辛い目に遭ってたら、こっちも苦しいのも、ね。あなたもお兄さんなら、妹さんを悲しませるようなことはしないでほしい。私だってその妹さんの恨みを買うようなことはしたくないし、何より家族の下へ返してあげたいんだ。会いたかったのに会えなくなるのって、本当に辛いから……」
「…………わかった。もうなんか色んな意味で完敗だ。シャロン、君の慈愛に感服した。その優しさを噛みしめながら、帰らせてもらうよ。大事な妹の下へ」
というわけで色々あったけど、トーレからデバイスも返してもらったティーダは家族の下へ帰っていった。ただ去り際に、こうも宣言していた。
「俺は二度と君を撃たない」と。
「ごめんね、トーレ、皆。勝手に決めちゃって。この件は報酬に色を付けるから、それで許してくれる?」
「その必要は無い。指揮官の判断なら、それで納得できるさ」
「ん? 指揮官って……」
「まぁ、そういうことよ」
トーレに続いてクアットロがニヤついた表情で私の右肩に手を乗せる。そして左肩にはウェンディが手を乗せてきた。
「アタシらナンバーズはシャロンの特殊部隊に入隊してあげるっス。あ、これ治療ポッドに入ってるチンク姉も同意してるっスよ?」
「私も都合がつく間はあなたの動向を見ていたいものね。面白そうだし」
「こういう戦いも、イイ感じに腕の振るい甲斐がありそうだ。存分に楽しませてもらう」
「ん、シャロンの味方が増えるのは俺も嬉しい」
「たいよ!」
「皆……ありがとう。私……嬉しくて、涙出そう」
「それじゃあシャロン、早速指揮官として一つ大事な仕事してくれないっスか? ほらアレっスよ、アレ! 部隊名!」
ぶ、部隊名かぁ。確かに必要だけど、いきなり決めろって言われてもそう簡単には………あ、…………決まっちゃった。
「その顔……良い名前思いついた?」
「うん、ケイオスのくれたこのコートと、シオンがさっき言ってくれた言葉から、思いついた。それじゃ発表するよ、この新しい特殊部隊の名前は……
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