新生のフォックス
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の脅威となる……アウターヘブン社のCEOが警戒する理由の一端がわかった気がするわ。あぁ……こういうのゾクゾクしちゃう♪」
クアットロが恍惚とした表情で身震いする。彼女きっと、昼ドラの愛憎劇とか罵り合いとか、そういう人間の醜い部分が現れた映像とかがすっごく好きそう。
さて、そんなこんなしている内に私達はいつの間にか墓所を抜けており、左手に深い森が見える街の外れに足を踏み入れていた。この辺りは……ラーン商店街の西口に近い位置だろう。
「急げ!」
ん? 中央区の方から何やら慌てたような男の声が聞こえる。
私を追って局員が来たのかと思い、石でできた段差に身を潜めて様子をうかがうと、黒い局員服の青年を先頭に、彼らは慌ただしく大量のワイヤーや酸素ボンベ、重機械などを搬送していた。道具類から察するに、どうやら私ではなく海難救助に向かっている部隊のようだ。
「仕切ってる男はクロノ・ハラオウンっスね。管理局の執務官で、上層部の席に所属していて、その上アースラ艦長まで勤めてるっス」
「彼らは墜落したアースラの救助に向かっているんだろう。ついさっき我々が見たあの戦艦だ」
「あらあら、無駄なお勤めご苦労様ねぇ。墜落後に脱出してきた生存者がいなかったところから、中の人間はとっくに全滅してると思いますのに」
「そもそも暗黒物質の雨が降った直後だというのに、エナジーが使えない人間が海に入って大丈夫なのか?」
「それは局員として俺も気になる。実際どうなんだ?」
「海は……水の比率的に暗黒物質の濃度は相当薄まるし、一般人が触れてすぐアンデッド化するようなことは流石に起きないと思う。だから水自体に危険は無い、はずなんだけど……」
「?」
言葉を濁したことで、ケイオスが首を傾げる。皆もよくわかっていないようだけど、私はさっきから嫌な予感を感じている。イクス曰く、私が恐怖を感じたら確実に何かがあるらしいけど、それ以前に情報が足りない。だから罠っぽいニオイは感じてるけど、その正体はまだ見当がつかないや。
「いつまで考え込んでるんだ? 見つからないうちに早く行こう」
「あ、ごめんケイオス」
思考にふけってたせいでバレるのも間抜けなので、ケイオスの言う通り、私達は彼らに気づかれる前に人気のない商店街を進み始めた。この辺りにいたアンデッドはアウターヘブン社のシェルターに集まって殲滅されたから、一応の安全は確保されている。だから移動しながらになるが、ようやく落ち着けるようになった。
「こんな時に何だがシャロン、感謝する」
「え? 急にどうしたの、チンク?」
「あそこで荒事に首を突っ込まない選択をしたことだ。見ての通り皆疲弊してるし、私はその上右眼が負傷して使い物にならないから、遠近感が掴みにくい
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