新生のフォックス
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も失った私は、果たして生者足りえるのか? 死んでいないだけで、ヒトは“生きている”と言えるのだろうか?
「言えるっスよ」
「え、ウェンディ?」
「独り言聞いちゃってゴメンっス。だけどそれは置いといて、シャロンに一つだけ言いたいっス。生きるってこと、そんな深刻に考えないで、もうちょっと気楽に受け止めたらどうっスか?」
「気楽に?」
「今のシャロンみたいに夢も目的も生き甲斐も無くしちゃって、もう自分がこっから先どうしたらいいのかわからなくなっちゃったヒトって、自分が諦めてることに色々小難しい理由と理屈を作ろうとするんス。自分がこうなったのはこれこれこういう理由があったせいで、自分は悪くない、周りが悪い、運が無かったとか、そんな風に自分を慰めるっス。あ、別にそれが悪いとは言わないっスよ、周りに当たりさえしなければ。だけどその状況って見方を変えれば、“心の休息期間”と言えなくもないんス」
「心の休息期間?」
「人間生きてれば絶対に心が折れないなんてことは無い、どんな不屈の心の持ち主でも折れる時は折れるんス。でも、折れたから何だって話っスよ。折れたら治るまでしばらく休んで、また頑張ればいいんス」
……やっぱりウェンディって、ヒトの生き方ってものをよく理解してると思う。彼女の言葉は、ストンと心に収まった。……休息期間、か。その言葉だけでほんの少し救われた気がする。
「心が折れたら、治るまで休んで……か。もし想像を絶する苦痛を味わった場合、治るまでの期間は一体どれだけかかるのだろうな……」
チンクの呟きを聞いて、ふと思う。ツァラトゥストラによる永劫回帰をしている者、接触者。その者は何をきっかけに、世界をやり直したいと思うようになったのだろうか? 過去に何があったせいで、世界は何度もやり直される羽目になったのだろうか? 本当の意味での元凶、真実とは一体……?
「私達の手には、表面的な情報しかない。もっと深い水底の先にある、歴史のエクソンだけじゃなくてイントロンに隠れている真実を見つけ出さないと、根本的な解決は出来ない。今回の事態解決に必要なのは敵を倒す力じゃない、敵を知り、敵を視る力なんだ……」
「ん……倒す力は必要ない?」
「そうは言ってないよ、ケイオス。敵を倒す力が必要なことに変わりない。私が言いたいのは、謎解きは力業で解けないって話だよ」
「そ。人間は力では勝てない相手に、知恵で勝つ生き物。シャロンがどうするのかわからないが、俺は信じる」
「ありがと、ケイオス」
無償の好意を向けてくるケイオスに私は少し微笑む。ただ……、
「早速、何か考え事?」
「うん、敵を知るって自分で言った言葉に、ふと思ったことがある。高町なのはのことだ」
「あぁ、あいつね」
「
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