新生のフォックス
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て済むわけだ。まぁ、そんな理屈を口にしながらも今の私、ぶっちゃけ戦えないけどね。
「でももし誰かが浄化に挑むなら、北部の森林地帯に残ってる魔法陣まで運ぶしかないか。確かあの辺りの土地は聖王教会の管理下だったっけ……」
シェルター前のは市街地だということで復興の邪魔にならないようにファーヴニル事変後に消した。なのでゲンヤさんの言うように、ミッドチルダに現存するパイルドライバーの魔法陣は、4年前のアレクトロ社のイエガー社長……ロキを浄化した時のものしかない。こんな形ではあるが、サバタお兄ちゃんは今も私達を見守っていると思うと、胸の奥がポカポカ暖かくなる。
「その顔、さしずめ恋する乙女だな。思わずいじり―――こほん、からかいたくなる」
「それ、どっちも大して意味変わらないよね……」
「フッ、しかしエリオと交わした契約は、お前の今後に致命的な影響を与えた。お前が背負った使命、“全てのクローンを救う”……それをたった一言で不可能にした。“視界に入ったクローンを殺す”という、呪いを刻むことでな」
「……」
そう……エリオの殺人を止めた代わりに、私はボディブローの如きカウンターを打ち込まれた。母さんと、アリシア姉さんと、ビーティー姉さんに託された使命を、私の手で否定してしまう呪いの契約。私がクローンを救おうと手を差し伸べたら、その手は私の意に反してクローンを殺してしまうのだ。私にとって……それは最悪の呪縛だ……。
「話には聞いていたが、何ともキツイ呪いだな。ドレビン神父、何でもいいから解除方法は知らないか?」
「電気変換資質所持者同士が脳に刻んだギアスロールは、何者であろうと外部の者に解けるものではない。解けるとすれば契約を交わした相手のみだろうが、そもそもエリオはフェイト・テスタロッサと殺し合いたがっている。クローンだから、子供だからと考えたお前の甘さで手加減されてはなるまいと思い、この内容にしたのだろう」
「ただ私と殺し合いたいがために、こんな呪いを刻んだと……?」
「表面上はそう捉えられる。しかし、ここでもう一歩踏み込んで考えてみれば、面白いことがわかるぞ」
「もう一歩?」
「無料サービスで教えてやるが、公爵に引き取られたエリオは真っ当な人間と接することなく育った。今まで会った人間は、外道に堕ちた違法研究者と、研究の犠牲になったクローンのどちらかしかいなかった。故にあの少年は他人との真っ当な接し方を一切知らない。だから興味を抱いた他人に対しても、彼は自分が知っているアプローチしかできない。礼儀作法を知らない相手の国に出向いた使節団が、自分の知る礼儀作法で誠意を示そうとするように。親から虐待を受けた子供が親になれば、同じように子供を虐待してしまうように。当たり前の話だが、知らないことはやれな
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