暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
Alicization
〜終わりと始まりの前奏〜
神立
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シゲクニやテオドラと連携し、加えてフランスのウィルヘルムや日本の狼駕に情報収集させていたことを、さも当然のように女王が知っているのは問題ではない。英国にだって映画によく出てきて、今や公然の秘密となった
秘密情報部
(
MI6
)
の他にも、書類の上に載せただけで物理的に首が飛ぶ部署も存在している。ヴォルティスほどの有名人の動向など、その長である彼女にはいつだって知れる状態だ。
問題なのはその後。
「兵器が……離れた?じょ、女王、それは制御不能ということですか……!?」
『そうです。各国も混乱しているようで、傍受することはそこまで困難ではありませんでした。確認できているだけで、イタリアの超音波兵器にフランスの音響兵器、オーストラリアの重粒子砲はそのコントロール権が政府を跳ね除け、アメリカのイージス艦に搭載された火器管制AIはテスト運行中にも拘らずマスター権限を書き換えたそうです。そして、目下一番の脅威とされているのは……ノルウェーです』
「ノルウェーというと、海上発射型のマスドライバーが何か?」
首筋をヒリヒリとした感触が撫でる。
それはあの鋼鉄の魔城でたびたび味わった懐かしい感触だったが、今のヴォルティスにいちいち感傷にふける暇は与えられていなかった。
画面の向こうの老婆は、首をゆっくり振る。
その予感を、確実に嫌な方向へと転換する言葉を、女王は放つ。
『それとは別口。スヴァールバルで開発、調整中だった新型無人潜航艦が四機、基地そのものを全壊させて大西洋へ消えたそうです。スペックシート上では、その四機だけで核戦争より大規模な破壊の爪を文明に振るうことができる、と』
眩暈がしそうな言葉だった。
『分かりますか、ヴォルティス。理解しましたか、イーゼンハイム卿。これは脅迫であり、《開戦宣言》です。先進国の主要都市のみをピンポイントで襲った地震はその先ぶれです』
そこまで言われたら、さすがにヴォルティスでも理解できる。
具体的な行動である、自身の開発した兵器の奪取に先んじて、《鬼才》は先手を打った。
それが地震。
もはやなんでもありのあの男はついに、地震を起こすことができる兵器を、よりにもよって主要都市の直下に仕込んでいたのだろう。その発動によって混乱する政府に、兵器の奪取という行為そのものを突き付けて、彼奴は言葉を一切用いることなく先進国の重鎮達のこう示したつもりなのだろう。
次は沈ませる、と。
しょっちゅう地震に襲われる日本人は疎いだろうが、場所によっては諸外国人にすれば地震というのはハリケーンや竜巻よりも珍しい天災だ。なにより地震の起こらない主要都市のビル群は、それを前提とした作りも多く、大惨事は免れ得ない。
「首元に、ナイフでも突きつけたつもりか……ッ」
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