第4話
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肝の座った男のようだ。
「……それで、野良犬が何の用だ」
「早速だけど報酬の話をね」
「まだ無理だな」
マ・クベは即答した。
「無理!?」
「勘違いしてほしくはないのだが」
通信機から2オクターブ高い声が返ってきたため、マ・クベは直ぐに言葉を継いだ。
「お前達の働きを評価しないというわけではない。むしろ逆だ」
「逆?」
予想外だったのか、通信機から返ってきた声はきょとんとしていた。幼いと言っても良い。
「評価が終わっていないのだよ。働きすぎだ」
「はぁ」
「作戦はまだ続くが、付近の制圧が終わるまでなら2日の予定だ。だから3日後に会って話したいと思うが、それで良いな?」
「……わかった。しばらくぶらぶらしているとしよう。連絡を待っている」
通信が切れた後、一言も発しないマ・クベにウラガンが水を向けた。
「マ・クベ司令、向こうはあっさり引きましたな。私といたしましては、意外に素直で少々驚きましたが」
「おそらく幼いのであろうな」
「確かに若い男の声でしたが……幼い……ですか?」
マ・クベは目を瞑って椅子の上で身体を伸ばした。
「反応が素直すぎる。おそらく幼少時から訓練を受けていて、戦闘以外のことは頭に入っていないのだろう」
「はぁ……少年兵のようなものですか」
「違う。少年兵の多くは、生き残っても子供ではいられない。それまでの過酷な経験が子供でいることを許しはしないのだ」
首を捻りつつも頷くウラガン。
「言われて見れば分かるような気もします。では、少年兵ではないとすると、野良犬は何者なのでしょう」
「少年兵だ。ただし、大量生産品ではなく、丁寧に作られた一品物。ある種の芸術だ。……奴の話はここまでだ。仕事に戻れ」
リリアナと名乗る武装集団のことも大切だが、マ・クベ達には広範な地球を支配するという任務があるのだ。いくら戦闘能力に優れていようとも、リーダーが子供なら恐れることはない。そう見切りをつけた思いのマ・クベは、司令官としての責務に立ち返ったのだ。謎の組織リリアナよりも、考え込んでいる間に溜まりに溜まった書類山脈こそが優先して処理する問題であることは間違いなかった。
マ・クベは後にこのように話している。
「あの時はまだ(第一次)降下作戦も終わってはいなかったし、司令官としての仕事も山積みだった。だからある程度の情報を得て通信を終わらせたが……今でも思うのだ。もっとよく話すべきではなかったか……と」
黒海沿岸からコーカサス地方へ勢力を伸ばすジオン公国軍に対して、地球連邦軍は即座に反撃に出る。
コロニー落としとマスドライバーからの砲撃への対処で散っていた戦力を糾合、ジオン公国軍が守りを固める前に一撃を与えてオデッサから追い落
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