第4話
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はなかった。ジオン公国軍の主力モビルスーツはMS―06 ザクUだが、それ以前の主力がMS―05 ザクT。どちらもジオニック社の作である。このザクTと主力機の座を争ったのがEMS―04。こちらはツィマッド社の作である。EMS―04はMS―05を遥かに上回る性能を示したものの、二倍近い製造コストと試作機の空中分解事件を理由に不採用となった経緯がある。
現状では、ジオニック社とツィマッド社の差は開く一方だ。ジオニック社のザクTが採用された。後継機のザクUも採用された。主力機として使われて実戦データも手に入れた。それは実戦で使えた、使える製品だという証明でもあるのだ。意気上がるジオニック社が更なる開発を進める中、ツィマッド社が巻き返すにはどうするか。性能をどうやって示す? 実戦データはどうする? ジオン公国では不採用。地球連邦は敵。ならばどこに……?
……もし。
もし、万に一つ。万に一つ、ツィマッドがEMS―04の後継機を開発に成功していたら。それがジオン公国以外に提供されていたら。『そいつ』の正体こそツィマッドの新型なのではないか? ギレン総帥とジオニック社を主流と見ればキシリアもツィマッド社も非主流派。キシリア配下の情報網に接触があったのも、ギレン総帥の下ではジオニック社の牙城は固いと見ての接触ではないのか? いや……しかし、或いは……。
思考の渦に囚われていたマ・クベだったが、ノックの音で我に返る。平静を取り戻し入室を許可すると、入ってきたのは信頼する副官だった。
「マ・クベ司令! 例の部隊から通信です!」
「! すぐに出る。回線をこちらに」
マ・クベが通信機の前に座ると、画面には何も映らないまま声だけが響いた。
「……通信機? これ壊れてるだろ」
聞こえてきたのは、まだ若い男の声だった。通信機の向こうで誰かと会話しているらしく、話すだけならいけます、などと別の声も届いてくる。どうやらあちらの通信機は映像の送受信ができない状態らしかった。
「……我々はリリアナ。降下部隊の司令官は応答されたし。我々はリリアナ。」
「聞こえている」
棒読みのアナウンスにマ・クベが答えると、通信機の向こうからはホッとしたようなため息が聞こえた。声が少し高くなる。
「あなたが司令官か。私はリリアナでリーダーをやっているストレイドだ」
「私はジオン公国軍中将のマ・クベだ。地球侵攻軍総司令官の任を拝命している。ところで、お前の名前はなんだ? 迷える者(ストレイド)と聞こえたような気がするが」
「ストレイドだ、間違いじゃない。もちろん本名じゃないけど、似たようなものかな。だから私のことは野良犬(ストレイド)と呼んでくれ」
一組織を率いる身とはいえ、中将という軍高官を相手に口調を改めるつもりはないらしい。随分と
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