第1部
アリアハン〜誘いの洞窟
盗賊と鍵
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いか」
「それは確かに言った!! でもだからって、なんでよりによってこんな似非勇者みたいなやつと一緒に旅に出なきゃならねーんだよ!?」
「おいジジイ、俺がこいつと仲良く『協力』なんて出来ると本気で思ってるのか?」
「うむ、まあ昔からよく言うじゃろ。けんかするほど仲が良い、と」
「言わねーよ!!」
ナギさんは力いっぱい否定した。けれどおじいさんは、ナギさんのほうを見てニヤニヤしながらこう言った。
「そうか。なら仕方ないのう。じゃが、ここで勇者殿と別れてしまえば、もう二度と『盗賊の鍵』は手に入らんのじゃぞ」
その一言に、ナギさんはしばらく固まった。
「……意外といい性格してるな、ジジイ」
「伊達に年はとっとりゃせんよ。まあ、わしもこう見えて昔は盗賊じゃった。故に旅に必要な知識や技術も一通りあいつに教えこんだつもりじゃ。旅の支障にならないぐらいには役に立つじゃろうて」
「……もしかしてあいつも、あんたの夢の中に出てきたのか?」
「さて? どうじゃったかの。なにしろ夢の中のおぬしは存在感が大きすぎての、ほかの仲間がだれじゃったかさっぱり印象にないのじゃ」
「ふん。当たり前だ。勇者である俺とほかの一般人では住む世界が違うのだからな」
「うーむ……。別にそういう意味での存在感ではないんじゃが……。まあよい。そんなに知りたければ、わし以外の者に聞けばよい」
わし以外の者? どういうことなんだろう。
「まあとにかく、不遜な孫じゃがこれからよろしくやってくれんか」
「冗談じゃない。とにかくで話を終わらせるな」
おじいさんの訴えに、ユウリは頑として首を振らない。すると、いきなりナギさんがユウリの前で手を合わせて、頭を下げた。
「さっきは悪かった!! オレも一緒に連れてってくれ!!」
「!?」
なんという変わり身の早さだろうか。さっきはあんなに意地張ってたのに、今度はなぜか急に態度を変えてきた。
「オレどうしても盗賊の鍵が欲しいんだ!! だからあんたの手助けする代わりに、あとでその鍵オレにくれないか!?」 ナギさんは、どうしてもその盗賊の鍵が欲しいらしい。さすがのユウリもこれにはあきれ返った様子で、
「……俺は『実力で取り返せばいい』といったはずだ。欲しければ勝手に俺のところから奪えばいい」
「よし!! じゃあ早速……」
「ベギラマ」
ずがごおぉぉおん!!
「ぎゃああああああぁぁぁぁっっっ!!!」
「ふむ。なかなかノリのいい勇者じゃの」
「あれ……ノリがいいって言うんですか?」
おじいさんの言葉に、いつのまにか私は、呆然としながら口を挟んでいた。
そしていつのまにかユウリの周りには、私を含め、三人の仲間が揃っていた。
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