第1部
アリアハン〜誘いの洞窟
盗賊と鍵
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。
「そうだ、ユウリは!?」
私が声を上げたと同時に、ナギさんの声が煙の中から聞こえてきた。
「どうだ? この煙の中じゃ、オレの姿も見えないだろう?」
「ああ。だがお前こそ、俺の姿が見えないだろう」
沈黙。
「あぁっ、しまったあああぁぁぁっっっ!!!」
ええええええ!!??
もしかしてこの人、そこまで考えてなかったの?
「お前…………真性のアホだな」
ユウリが心底あきれたようにつぶやいた。ため息とつくと同時に、煙も徐々に引いていった。
「ばっ……、い、今のはノリだ!! それもみんな想定内のことだっつーの!! これからが本気だぜ!!」
「いつ本気を見せてくれるのかずっと待ってるんだがな」
「くっ、口だけはよく回るな!! 男の癖によ!!」
「お前はもっと言葉のボキャブラリーを増やしたほうがいいんじゃないか?」
「……………………!!」
ああ、なんかもう完全に勝敗が決まってる気がする。さすがのナギさんも、二の句が告げないみたいだ。
「それよりも、この下の階にある罠を張ったのは全部お前か?」
「あ、ああ、そうだけど……」
「ベギラマ」
ごおぉおぉおおぉぉっっっ!!
「ぎゃああああぁぁぁぁっっっ!!??」
いきなり放ったユウリの呪文を、ナギさんはすんでのところでよけた。
もともと威力を弱めたらしく、炎は壁にぶつかったとたん、しゅんっ、と音を立てて消えた。
「なっ、ななななななにすんだよっ!!!」
心底おびえた声で叫ぶナギさん。ユウリはひどく冷めた様子で、
「あんなくだらない罠を張るからだ。おかげで余計な手間が増えた」
「く、くだらなくなんかねえよ!! あれはオレが小さいときに盗賊の修行の一環として作った罠だぞ!! つーかそんな理由でオレを燃やそうとすんのか!!??」
さっきの態度とは違い、ナギさんの声は泣きそうだ。
やがて煙が晴れていき、ころあいを見計らったおじいさんが二人の間に割って入った。
「いやいや、今のは我が孫が悪い。申し訳ないことをしてしもうた。ほれ、お前も謝らんか」
「何でオレが!!」
「むう……。どうもこやつは昔っから変に意地っ張りでのう……」
そしておじいさんは、しばし考え込んだ後、とんでもないことを口にした。
「そうじゃ、ナギ、お前、この者の無礼の償いとして、ともにこの者たちと戦い、協力しなさい」
「はぁ!?」
「なんだと!?」
二人が一様に、眉間にしわを寄せた。私ですら、耳を疑った。
だって、ともに戦うってことは要するに、私たちと一緒に旅をするってことじゃ……。
「冗談じゃねーよ!! 何でオレがこいつに協力しなきゃならねーんだよ!!」
「何でも何も、お前昔から自分の盗賊としての腕を試してみたいからって、ゆくゆくは旅に出るっていっとったじゃな
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