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人類種の天敵が一年戦争に介入しました
第2話
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勢力を信じるというわけではないが、キシリアが信じるそぶりを見せている以上、自分が信じないわけにはいかないというのがマ・クベの考えだ。
 武装勢力に直接接触した諜報部員によると、彼らはかなり過激なジオニストであり、宇宙に出た人類を地上から支配しようとするなど言語道断、人類を新たな段階へ進めるためなら何人でも殺してみせると口にしていたらしい。更に、地球連邦の罠ではないかという疑念を払拭するために諜報部員が言葉を濁すようなことをやらかし、それでもってキシリアも彼らを信用するに至ったのだという。何をしたのかまではキシリアも口にしなかったが、想像はつく。マ・クベ個人としてはそのような野蛮な連中とかかわり合いになりたくはないが、地球侵攻軍総司令マ・クベ中将としての視点で見れば、汚れ仕事に喜んで手を染める駒は貴重だ。大切にする必要はないとしても、それなりに付き合わなくてはならない。そもそもキシリアの推薦だ。キシリアが信じるならば自身も信じるしかないマ・クベにとって、それならばとことん信じた方が楽でもある。そうした計算もあって、マ・クベは武装勢力についての心配に蓋をしていた。
 なおも訴えようとしていたウラガンだったが、鋭いアラーム音により動きを止めた。作戦開始まで一時間を切ったのである。

「ウラガン」
「はい」
「奴らに通信が繋がるようなら、期待しているとでも伝えておけ」

 そして三時間後。マ・クベがオデッサの地に到達したとき、そこにあったのは黒海を代表する輸出港でも観光都市でもなく、出来たばかりの廃墟が広がっていたのであった。
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