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人類種の天敵が一年戦争に介入しました
第2話
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部隊には大車輪の活躍が期待されている。この構想において、インド方面は牽制すら控えめにし本格的な衝突を避けるべきとされている。……いや、本格的な衝突には耐えられないというべきだろう。第一次地球降下作戦というからには第二次以降の計画も存在し、そちらにも戦力を振り分ける必要があるため降下部隊の戦力は決して潤沢とはいえない。

「だからといって、あのような得体のしれない連中を使うことになるとは……信用できるのでしょうか」

 ウラガン中尉は憤懣やる方なしといった口調で上司に言い募った。

「……現地の反連邦武装勢力のことか」
「はい。降下作戦の支援に黒海沿岸で一暴れする、報酬は戦果で決めて良いなど、怪しいにも程があります」
「……自信があるのだろう」

 マ・クベ中将の意識はパイロットスーツの襟元に行っている。そのためか受け答えもぞんざいだ。

「司令! 事はマ・クベ司令御自身の安否に関わるやも知れないのですぞ!」

 忠実な副官はカリカリしているが、マ・クベにとっては現地の武装勢力の動向より、パイロットスーツとスカーフの色を合わせる方が重大時である。

「マ・クベ司令!」
「ウラガン」
「はっ!」
「せっかくキシリア様が手配してくださったのだ。我らが信じずしてどうする」

 キシリア・ザビ少将。半ば隠居しているジオン公国の公王、デギン・ソド・ザビの長女。ジオン公国の事実上の支配者である長男ギレン・ザビ総帥と、その弟でジオン公国軍の主力である宇宙攻撃軍を率いる三男ドズル・ザビ中将の妹。マ・クベの下に配属されている末弟ガルマ・ザビ大佐の姉。
 ムンゾ中央大学を飛び級で卒業した才媛。独自の諜報工作機関であるキシリア機関を組織して政治的にはギレンと、突撃機動軍のトップとして軍事的にはドズルと張り合う女傑。キシリア・ザビは総じて一廉の人物だと言える。
 そして、マ・クベはキシリアの信奉者だった。自身と同じ中将であるドズルを閣下、階級が低いガルマを大佐と呼ぶマ・クベだが、キシリアに対しては少将ではなく様付けである。この一事でもってマ・クベの感情が何処にあるかは明らかだ。
 ウラガンは現地の武装勢力に対して不信を訴えているのであり、武装集団を推薦しているキシリアを批判しているわけではない。微妙な意味合いの違いでマ・クベの機嫌を損ねるわけにはいかないが、ウラガンは忠実な副官だった。危惧を前に沈黙しているわけにはいかない。

「しかし、都合が良すぎます。このタイミングで、地上にコロニーを落とした後に地上の勢力から協力を申し出るなど、何かの罠ではないでしょうか」

 実はウラガンと同様の思いはマ・クベの胸中にもある。しかし、キシリアから直接を伝えられたマ・クベは、ウラガンよりも件の武装勢力について詳細な情報を得ていた。だから武装
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