純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 2
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仕切りが二枚。
正面に、執務用の机と椅子と緑色が鮮やかな観葉植物。
壁の中央に嵌められた大きな窓を背負う黒革製の椅子に座って正面には、応接用のガラス製ローテーブルを挟む黒革製のソファーが二脚。
その奥に、役員が往来するであろう廊下へと繋がる一枚扉があり。
扉の両脇では、吊られた花カゴと、床置き型の燭台が入室者を歓迎する。
次期大司教の執務室の反対側、柱に偽装した扉から見て右斜め前方には、寝室へと繋がる左開きの扉があり。それを手前に開くと、左手側にそこそこ大きな一人用ベッド、水差しとコップが置かれた真っ白なサイドテーブル、クローゼットなどを配置。
正面に浴室への扉、右手側に壁型の間仕切りが何枚か連なり。
一人分の幅しかない間仕切りの隙間を通り抜けた先で、食器棚や調理台や水瓶などが丁寧に並べられていた。
御令嬢の寝室といえば、間仕切りは大体ベッドかクローゼットを隠す為に設置するものだと思うのだけど。
プライベートエリアではなく、食器棚を隠しているのは何故だろう?
ちょっと不思議な絵面だな、と。
何の気なしに伸ばした手の先で、見覚えがある何かが、壁に掛かっている燭台の灯りを受けてキラリと光った。
見間違いか? と瞬きしても、目蓋を擦ってから見直してみても、何かは変わらずそこに居る。
「………………くらげ」
くらげだ。
師範の教会でクローゼットの奥に隠れていた、あのくらげ。
本体と思われる半円部分の側面? 中央付近に付いた二つの点。
平べったい下部から伸びる、四本の丸っこい棒。
今度は全体が真っ白な陶器で、玉付きの頭頂部周辺が取り外し可能。
四本ある棒のうち三本が下から上へ曲線を描いて自身の頭を撫でるように先端だけをくっ付け、残りの一本は、他と同じように下から上へ伸びつつも穴を空けた先端が外側に向いている。
うん。
これは、ポットだ。お茶を淹れる為のポット。
食器棚に収納されてることから考えても、その用途に誤りはない、筈。
しかし、これはどうしたことだろう?
アルスエルナ王国は、東と南が海に囲まれているとはいえ、領土の広さは中央大陸で一、二を争う。
陸地のほうが面積は広いし、内陸部で生活する人間が海洋生物に親しみを持つ機会は、そんなに多くない。
都民や北方領民に至っては、よほど海洋への興味がない限り「くらげ? 聴いたことがあるような、ないような?」程度の認識じゃなかろうか。
私自身も、学徒時代に海軍下で訓練してたから知ってる、くらいだし。
なのに、何故か北と都で、まったく同じ造形のくらげが鎮座している。
はて?
「あああーっとぉ! すみません、フィレスさん! 言
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