第七十話
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だけど、『暴力OK』と言ってるようなルールとなると、二人以上で攻められたら突破さねかねない。
むしろこのルールは、俺たちの若干の不利を和らげるルールなのだろう。
「二人一組で行動していこう。基本的には逃げることを優先させる感じで。」
そもそも、鬼の勝利条件を考えると、俺たちを必死に追いかける他ない。でも、缶を守る人を二人は置くだろうから、追っ手は減るはずだ。
…………と、このときの俺はどっちが本当に有利か分からないまま作戦を立てていた。
いや、このときの俺の予想や推理は決して間違っていなかった。最悪、一時間逃げ切れば勝てる、と。
しかし、俺は失念していた。
一人、そいつが居るだけで勝利に大きく近づくような存在を。
「…………ねぇ、木曾?あたしは麻婆豆腐とか言うの食べてみたいから。」
しかし、そんなことを知らない俺達は、食べたいものの想像を始めていた。
「…………私は、オムライス、とかかな…………。」
「カロリーメイク以外なら、なんでも…………。」
…………昨日に比べると、みんなの顔にも少しずつ笑顔が浮かぶようになっていた。
…………勝たせてやるか。
「…………さてと!そろそろ始まるっぽい!!」
ピンポンパンポーン。
開始時間三十秒前に、館内放送が始まった。
『えー、これより、缶けりバトルをスタートする!思う存分暴れてくれ!!』
拓海のその合図と共に、俺達は食堂を飛び出した。俺は不知火と共に、一番近くの階段へ向かった。
「さてと、暫くは一階と二階を中心に逃げて行こう。場合によっては、三階も視野に入れるけどな。」
「了解。」
俺達は階段の前までやって来て、二階へと上がる。
壁から廊下を覗いてみるが、また人影はない。
俺達は二階にある個室の中にでも隠れようかと一瞬考えた。しかし、もし入ってこられたら逃げ場がない。見通しのいい廊下に居よう。
『二階南東階段付近に木曾さんと不知火ちゃんが移動してます!その他も各階段へ二人一組で移動中!総員、最初の指示通りお願いします!!』
「なっ!!?」
俺は自分の耳とスピーカーから聞こえてきた放送を疑った。
今の放送は、間違いなく春雨のものだった。その春雨が、誰がどこにいるのかを的確に言っていた。
しかし、よくよく考えてみると、なんら不思議はない。
春雨は『超高性能電探』とも言うべき特性を持っている。このお陰で、海上では半径百キロメートルの範囲はほぼ完璧に、
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