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戦国時代に転生したら春秋戦国時代だった件
第2章 項羽と劉邦、あと田忠 〜虞兮虞兮、奈若何〜
第5話 項羽ジェノサイド
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項羽軍が咸陽近郊までやってきた。
劉邦があわてて項羽に頭を下げたらしい。まあ、武力ではかなわんからな。
ぶちきれちていた項羽も、必死に頭をさげる不思議ちゃんをみて溜飲を下げたようだ。
項羽の名軍師、范増(はんぞう)はしきりに不思議ちゃんを殺そうとしたようだけれど、不思議ちゃんの仲間たちに阻止されたようだ。

そして、范増は項羽軍を去った。
どうも、不思議ちゃんをどうしても殺したくない項羽と意見が対立したからのようである。
鑑定しないと何ともいえないが、范増の危惧は正しいように思える。
間違いなく項羽は、油断している。そして、その知恵袋を失った。チャンス……かな?


$月@日
項羽がついに咸陽へ入城した。
で、予想通り略奪している。お姫様のお墓まで暴いたのだから節操がない。
章邯はすぐにでも救援に向かいたそうだが、ぐっと我慢している。
それに、俺たちの策によって今のところ人的な被害はほとんどない。
とはいえ、たった2万で、10万を超える精兵を正面から相手にするのは、さすがに無理だ。

だが、機は熟した。首を洗って待ってろ、項羽!




「へへへ、見ろよ、金銀財宝がたんまりだぜ」

「うひゃひゃ、食い物も山ほどあるだよ!」


 咸陽へと入った項羽軍は予想通り略奪の限りを尽くしていた。
 が、咸陽の民への被害は驚くほど少ない。
 あらかじめ田忠の命を受けた者たちが、咸陽のあちこちに財宝を山と積み、大量の酒と食糧をおとなしく渡したからだ。
 田忠が輜重隊を徹底的に潰していたため、項羽軍は飢えていた。
 ゆえに、女子供を襲い、虐殺する前に、酒と食料に飛びついたのだ。


「うぃーひっく、おめえ飲みすぎてえねえか?」

「戦勝祝いだよ、ちょっとくれえいいでねえか」

「大人しく酒と食料を渡したから秦の人間を助けるって本当だでか?」

「ばっか、んなわけねえだろ。"今日は"助けるっていっただけだ。明日は略奪できるぞ!」


 さすが項羽様、話が分かる!と楚軍の中では笑い声が絶えなかった。
 どこもかしこも戦勝気分で大宴会を開いている。
 と、そのとき銅鑼の音が響き渡った。酒で鈍った頭でなんだろうと思っていると、何かが飛来してきた。
 それがその男の最期だった。


「敵襲だああああ! 田忠が来たぞおおおお!」


 突然の襲撃に項羽軍は大恐慌に陥った。


「わが名は田忠、死にたいものはかかってこい!」


 馬にまたがって疾走してくる線の細い美少年が、まるで冗談のように兵士たちを蹴散らしていく。
 田忠らが暴れまわっている隙に、章邯が咸陽の民を連れて逃げ出している。
 飢えた項羽軍に酒と食料を渡して油断させたところを強襲する。
 ついで
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